Seaglider (iRobot)
特徴 | 機能 | 価格 | ワンポイント | 詳細 |
グライダー型水中ビークル |
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3,500万円(税抜) | 海上や海中の放射能計測ができる |
コメント:Seaglider(シーグライダー)は、米iRobot社が開発した海洋観測用ロボット。
スクリューや可動翼を持たないグライダー型の水中ビークルで、本体内のブラダー(風船)を油圧オイルで膨張・収縮して浮力を調節。海面から海底(水深1,000)までを上下動しながら、最大10カ月、4,600kmの連続海洋環境モニタリングができる。また、所定の水深や海底に滞留しての計測も可能。
計測したデータは、浮上時に衛星回線を使用して基地局に転送され、インターネットを通じてアクセスできる。
全長1.8m、ウィングスパン1m、重量52kg。潜航水平移動速度25cm/秒、垂直移動速度10cm/秒。
日本の販売代理店は、東洋テクニカ。
東京電力福島第一原子力発電所事故で海上や海中に放出された放射能計測ができるよう、高感度シンチレーション検出器を搭載した。
(2012.1.14)
宇宙ステーション補給機「HTV」 (三菱重工業)
特徴 | 機能 | 価格 | ワンポイント | 詳細 |
宇宙ステーション補給機 |
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コメント:HTVは、ロシアのプログレス、欧州のATVに続いて、日本が製造した国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給機。
サイズは大型バス並みの全長約10m、直径約4.4m、補給能力は約6t。開発費は約680億円。
H-?Bロケットから分離したHTVはその後1週間かけて、ISSに近づき、ISSのロボットアームに捕捉され、ドッキングする。
HTVはひと月ほどISSに留まった後、不要になった物資を詰め込んで大気圏に再突入して燃焼廃棄される。
宇宙船そのものといっていいHTVは将来の月探査を視野に、2015年までに計7機をH-?Bで打上げる予定。
(2009.9.11)
<追記>ISSへのドッキングに成功。
(2009.9.18)
<追記>三菱電機が「HTV」用に開発した「近傍接近システム」がNASAの宇宙貨物輸送機「シグナス」(製造:米オービタルサイエンス社)に搭載されることが決定。
受注総額は約60億円。 2010年から2014年にかけて9機分を順次納入する予定。
(2009.10.22)
<追記>大気圏に突入、燃え尽きる。
(2009.11.2)
<追記>HTV(愛称・こうのとり)2号を搭載した「H2B」2号機の打ち上げに成功。
(2011.1.22)
<追記>HTV(こうのとり)2号、国際宇宙ステーションと結合。
(2011.1.28)
小惑星探査機「はやぶさ」 (宇宙航空研究開発機構)
特徴 | 機能 | 価格 | ワンポイント | 詳細 |
工学技術実験衛星 |
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コメント:「はやぶさ」による小惑星イトカワへの探査は、日本の宇宙開発史上最も心躍るチャレンジのひとつであり、数々のトラブルとその復活により「ロボット」である探査機に感情移入した稀有な出来事でもある。
「はやぶさ」の挑戦を日本人はもっと誇りとすべきだろう。
2003年5月9日に打ち上げられた「はやぶさ」は、工学技術実験衛星と銘打たれているとおり、小惑星を探査し、将来の本格的なサンプルリターン探査に必要な技術を実証することを目的としている。
「はやぶさ」は、地球スウィングバイを行って加速し、イオンエンジンでイトカワまで飛行。イトカワを周回観測した後、2005年11月にイトカワへの着陸を行い、その表面から物質のサンプルを持ち帰ろうとしている。
少ない予算、限られた制約の中で多くのチャレンジングな試みを行ってきた「はやぶさ」だが、イトカワ着陸後、燃料漏れやエンジントラブルなどが相次ぎ、地球帰還が危ぶまれていた。
2007年4月、プロジェクトチームの懸命な復旧作業により、ようやく地球に向けて出発。現在、2010年6月の地球帰還を目指して飛行を続けている。
「はやぶさ」ミッションは、工学的にもまた理学的にも大きな成果を挙げ、世界的な評価を得ている。また「はやぶさ」の果敢な挑戦とトラブルに見舞われながらも決してあきらめないプロジェクトチームの姿は、多くの人に勇気と感銘を与え、「はやぶさ」についての講演会には大勢の人が詰め掛ける。
それにもかかわらず、「はやぶさ」後継機が打ち上げられるかどうかはいまだ明確でなく、後継機についての宇宙航空研究開発機構(JAXA)の説明はとたんに歯切れが悪くなる。宇宙開発の予算削減が大きな理由にあるとしても、まだ存在していない「GXロケット」の開発を理由に、世界的評価を得ている「M-5ロケット」を断念するなど、旧NASDAと宇宙研との確執がその底辺にあるのだろう。
いずれにしろ、「はやぶさ」の旅はまだ終わっていない。果たしてイトカワ表面の物質は採取できたのか、本当に地球に戻ることができるのか、今後も注目していきたいと思う。
(2007.6.19)
<追記>「はやぶさ」のエンジン再起動に成功
(2009.2.4)
<追記>NECと米国Aerojet-General Corporationは、人工衛星向けイオンエンジンの開発・販売における協業に向けて検討を開始。
(2009.8.3)
<追記>動作中のイオンエンジン「スラスタD」に異常が発生(11月9日)。スラスタAの中和器とスラスタBのイオン源を組み合わせることで、1台のスラスタとして作動させることに成功。
(2009.11.19)
<追記>政府、GXロケットの開発中止を決定。
(2009.12.17)
<追記>地球の引力圏内に突入する軌道に到達。
(2010.1.14)
<追記>地球へ帰還する目標軌道に到達。主エンジンの連続運転を停止した。
(2010.3.27)
<追記>「はやぶさ」からカプセルを分離し、カプセル回収に成功。
(2010.6.14)
<追記>文部科学省は、2014年〜15年に小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」をH2Aロケットで打ち上げることを検討。総事業費は270億円。「はやぶさ2」は、小惑星「イトカワ」より形成年代が古く、有機物や含水鉱物に富むとされる小惑星「1999JU3」を目指す。小惑星に物を衝突させて人工クレーターを作り、地下物質を採取する。19年ごろ地球に帰還し、採取物質を収めたカプセルを地上に投下する。
(2010.7.14)
<追記>文部科学省宇宙開発委員会は、廃止された国産ロケットM5に代わり、新たな小型固体燃料ロケット「イプシロン」の開発を進めることを妥当と結論。
「イプシロン」は、H2Aロケットの半分以下の全長24メートル、重さは91トン。打ち上げ準備期間を世界最短の7日間に短縮し、費用をM5ロケットの約半分にあたる38億円に抑える。開発費205億円をかけ、2013年度から小型科学衛星などの打ち上げに利用される予定。
(2010.8.9)
<追記>「はやぶさ」が持ち帰ったカプセル内の微粒子が、小惑星「イトカワ」のものだったと発表。
(2010.11.16)
r2D4 (東京大学生産技術研究所海中工学研究センター 浦研究室)
特徴 | 機能 | 価格 | ワンポイント | 詳細 |
海底熱水地帯調査用AUV |
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リチウムイオン2次電池 |
コメント:この「r2D4」は、全長4.4m、幅1.08m、動力源にリチウムイオン2次電池を使い、ソナーや熱流量計を使って、4,000mの深海海底の熱水地帯を観測できる無人潜水機(AUV : Autonomous Underwater Vehicle)。東京大学生産技術研究所の浦教授らが開発し、三井造船が製造した。
これまでのROV(Remotely Operated Vehicle)が、通信と電力補給のため母船とケーブルをつなぎ、かつ遠隔操作する操縦者を必要とするに比べ、この「r2D4」は小型軽量、自己完結型の水中ロボットのため、大型の支援船や操縦者を必要としない。
「r2D4」は、あらかじめプログラムされた潜航計画に従って潜航するが、オペレータの指示を仰ぐことなく、複雑な環境の変化を認識して障害物を回避したり、特異な観測値を計測した場合、自己判断で経路変更もできる。
また音響観測装置のサイドスキャンソナーやインターフェロメトリーソナーによって、1m以下の精度で海底の凸凹を計り、地形の詳細な3次元データを得ることができる。
2003年7月の駿河湾での初潜航後は、石垣島沖黒島海丘、グアム島沖のロタ北西第一海底火山、伊豆小笠原海域の明神礁カルデラなどへの潜航に成功。
そして2006年12月には、インド洋ロドリゲス島沖の中央海嶺(長さ約26km、幅約2.7km、体積約16km3)に連続6時間潜水し、海底下約2,700mで長さ約14km、溶岩の厚さ約300mの世界最大級の海底溶岩台地(ドードー溶岩大平原)と、それにともなう熱水活動を発見している。
今後は、AUVが発見した局所的な異常点に、ROVや有人潜水艇を潜水させ、より詳細な熱水活動の情報を得る予定だという。つまり、AUVによる広域観測とROVなどでの詳細観測とを巧みに組み合わせて、効率的な観測システムを構築していくことが今後の海中海底観測の推進に必要であると東京大学生産技術研究所海中工学研究センター 浦 環教授は述べている。
「海中海底工学フォーラム」で、「r2D4」が観測した溶岩大平原の三次元画像を見たが、海底下の状況が詳細に読み取ることができ、どこかの惑星の画像を見ているような印象をもった。
惜しむらくは深海の映像がないこと。浦先生が一番悔しいと思うが、やはり海底下の実写映像を見てみたいと思う。なんとか水中カメラをとりつけることができないのだろうか。
ちなみに「r2D4」という名前は、映画「スターウォーズ」に出てくるロボット「R2D2」からとったというわけではなく、rは中央海嶺を意味するRidge System、その第一期計画がアールワン・プロジェクトで、現在は第二期なのでr2。またD4は最大潜航深度(Depth)が4,000mであることを意味している。もちろんシャレもあるとは思うが。
今年度は、海上保安庁と共同して伊豆半島沖の海底精密測地と明神礁のカルデラ観測をふたたび行う予定という。
(2007.5.22)
ロボット政策サイト (経済産業省)
特徴 | 機能 | 価格 | 他 | 詳細 |
報告書、プロジェクト、イベント情報、関係機関リンク |
コメント:経済産業省が運営するロボットのWebサイト。
ロボットに関する各種報告書、実施プロジェクト、イベント情報、関係機関へのリンクなどが網羅され、国の進めるオフィシャルなロボット政策がすべてわかる。
ベーシックなロボット資料としての活用をお薦めする。
(2006.11.15)
<追記>経済産業省主催の「今年のロボット大賞2006」の優秀賞10件を発表。
(2006.12.1)
<追記>ロボット政策の全体像
(2007.5.22)
未来ロボティクス学科 (千葉工業大学工学部)
特徴 | 機能 | 価格 | 他 | 詳細 |
ロボットテクノロジーで、未来をクリエイトする |
コメント:2006年4月に開設される千葉工業大学工学部の新しい学科。新聞広告や駅のポスターデザインには、morph3とHallucigenia01が使われていた。現在、講師の選定、入試日程など準備をすすめているとのことで、ロボット制作に携わる未来の研究者がたくさんの集まることを期待したい。
(2005.11.15)
<追記>未来ロボティクス学科のガイダンスを取材した。
学科主任の中野先生を中心に、青山学院大学の富山先生や東京工業大学の米田先生など「ものづくり」にこだわった多彩な人材を迎え、これから新しいロボティクスを築いていくぞという前向きな気持ちが伝わるガイダンスだった。募集定員110名に138名が入学。経営的な判断もあると思うが、入学早々東京ディズニーランドへのロボット見学が予定されるなど、新しい学科ならではの大学側の気遣いも感じられた。
今年入学した学生が卒業するのは2010年。ロボットを取り巻く社会環境も産業構造もきっと変わっていると思うが、未来に向かって新しいロボティクスを教授と学生力をあわせ築きあげていってほしいと思った。
(2006.4.1)
<追記>大和ハウス工業?と連携し、住宅床下点検ロボット「Iris(アイリス)」の開発を発表。2008年の実用化を目指すという。
(2006.10.26)
<追記>お役立ちロボットコンテスト及びシンポジウムを開催。
(2007.3.21)
<追記>超多モーターシステム搭載多脚移動ロボット「Halluc II」を公開。
(2007.7.25)
<追記>日本ロボット学会の一般公開セッションとして「君と共に、ロボティクスが拓く未来」と題して、ロボティクス若手ネットワーク・オープンセミナーが開催された。
前半はfuRoの古田氏のロボットのデモンストレーション、マイクロバイオ、ロボット教育、福祉医療の分野で活躍する若手研究者の講演。後半はテーマごとに分かれて講演者を含む若手のロボット研究者と参加者との交流会が行われた。
主催者が狙っていた中高校生の参加はいまひとつだったが、普段あまり接することの少ない若い研究者の話を直に聞ける新しい「場」の試みだったと思う。定期開催が望まれる。
(2007.9.18)
<追記>災害対応支援ロボット「Quince(クインス)」を開発。
「クインス」は長さ約1メートル、幅約50センチで重さは約26キログラム。スーツケースなどに入れて持ち運べ、パソコン画面を見ながらコントローラーで無線操縦する。階段やがれきなどを走行でき、防じん・防水機能になっている。
(2010.4.28)
<追記>約100キロの荷物を運べる二足歩行ロボットの試作機「core」(コア)を発表。
(2010.9.16)