海の一攫千金ロボット
投稿日時 2007-8-12 21:24:00 | トピック: 視点
| 20数年前、北米を旅していたときにキーウエストにもしばらく滞在していた。 当時のキーウエストには絶滅寸前のヒッピーたちが世界各国から流れついてきたような雰囲気があって、ヘンミングウェイが通った「Sloppy Joe's Bar」もそんなヒッピーたちでにぎわっていた。
そこで友達となったオーストラリア人の若者は、フロリダからカリブ海の島々にかけ、一攫千金を狙って難破船を探し回る、いわゆるトレジャーハンター。 酔うほどに話がデカくなる彼の冒険譚は法螺話として本当に面白く、ビールを片手に笑い転げたものだった。
昨夏、東京海洋大学で「水中考古学」についての講演会(アジア水中考古学研究所)があった。
「水中考古学」はキーウエストの件からなんとなく興味があり、元寇の役で有名な伊万里湾の鷹島遺跡などの関係書籍は読んだりしていたが、これまでなかなか現場の話を聴く機会がなかった。
講演では、 日本の海、湖、池に眠る遺跡は少なくとも10,000ヶ所はあること、それにもかかわらず各地域の教育委員会が把握している水中遺跡は380ヶ所あまりしかなく、しかも水中遺跡の調査は年に1〜2件しかないこと、
そして日本でなかなか水中考古学が発展しない理由として、 水中考古学を体系的に学べる大学がひとつもないこと、 水中遺跡探査は地上遺跡に比べ、費用(1日平均150万円)がかかり過ぎること、 など日本の水中考古学の現状の報告があった。
地中海ではエジプト、ギリシャ、ローマ時代などの水中遺跡が次々と発見され、水中考古学は大変注目されている。 特に近年では、AUV(無人探査機)が威力を発揮する場合が多いようだ。
世界最先端の日本のAUVが、日本の水中考古学に貢献できないはずはない。 地上遺跡の発掘が中高年をはじめ、多くのファンを魅了しているこの日本で、水中に眠る遺跡の発見は、新たなファンを獲得すると共に、海や湖にこれまでとは違う関心を呼び起こすはず。
今でもきっと、あのオーストラリア人は財宝を追ってカリブの海を探し続けている。
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