2007年のロボット・トピックス
投稿日時 2008-4-9 23:02:00 | トピック: 視点
| ○2007年上半期 ロボット・トピックス
?安全 次世代ロボット安全性確保ガイドライン案
経済産業省は4月、次世代ロボットの安全性に関するはじめてのガイドライン案を発表し、パブリックコメントを募集した。 非製造分野におけるロボットの安全基準作りは、早急にロボット市場を立ち上げるためにも、また日本のロボットが世界の主導権を握るためにも大変重要なもの。今後の動向に注目。
?知能 a.次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト
19年度から19億円の予算でスタート。ロボット関連最後の大型プロジェクトとして、ロボットメーカーや大学研究者の「お金」に群がる浅ましい姿も散見される。 これにより本当に役立つロボット知能ソフトウェアプラットフォームが実現できるのか、しっかりとみていきたいと思う。
b.情報と行動を学習するロボット
情報通信研究機構は、対話と行動を学習するロボットの知能化技術の開発に世界で初めて成功。 これにより利用者の生活空間や習慣に応じたコミュニケーションが実現できるものと期待される。
?自動車標準ソフトウェア
トヨタは自動車搭載用の標準ソフトウェアを独自開発を発表。 路車間でさまざまな情報をやり取りして、未然に事故を防ぐ高度技術の実用化が期待されており、外部に委託したソフトウェアの不具合によって人身事故が発生した場合に今後責任の所在が問われかねない。 そのための自社開発ということだが、ソフトウェアをIT産業に握られ、主導権をとられたパソコンの二の舞にならないための手段でもあるだろう。当然、ロボットおや、である。
?柔軟な関節とやわらかい皮膚を持つロボット
科学技術振興機構は大阪大学と共同で、柔軟な関節(51カ所の可動部分に空気アクチュエータを使用)と柔らかな皮膚(シリコン製皮膚の下にある約200個の高感度触覚センサで全身の触覚を実現)を持つヒューマノイドロボット「Child-robot with Biomimetic Body (CB2)」を開発。 ロボット発達のメカニズムと人間社会に適応するロボットの実現が期待される。
○2007年下半期ロボット・トピックス
?産業用ロボットからサービスロボットへの鼓動
安川電機のMOTOMANシリーズや富士重工業の連結式医薬品容器交換ロボットに代表される、次世代サービスロボットが非製造業の生産現場に進出。 人と接する身近なサービスロボットへの展開を予感させる。
?ロボットの知能化開発の加速
今年度から「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト」(経済産業省)がスタート。情報通信機構の「ボディランゲージで自然に振舞うロボット」や、トヨタや富士通が理化学研究所と脳の研究を開始、またホンダが複数体のASIMOを協調動作できる知能の開発など、ロボットの知能化に関する動きが加速。
?顔画像認識の商品化
「FinePix」(富士フイルム)や「サイバーショット」(ソニー)のデジタルカメラに搭載され、一気に一般化した顔画像認識。 オムロンの「KAO Vision」が綜合警備保障の警備ロボットに搭載されたり、NECソフトの「Field Analyst」が新しい分析手法としてマーケティングに活用されるなど、応用範囲が拡大。
?ユーザ企業と二人三脚
富士重工業と住友商事がオフィスビルでの「エレベータ連動清掃ロボットシステム」を共同開発したことを筆頭に、富士通、富士通フロンテックとイオンが受付案内ロボット、安川電機、三井物産とホクショーが物流プロセスのロボット化、アスウェイと大阪のロボット関連メーカーによる高速道路でのロボット開発など、 ロボットメーカーとユーザ企業が手を組んでロボットの事業化を進めていく動き。
?緊急地震速報対応
10月から気象庁が配信を始めた「緊急地震速報」に対応した「エレベータ地震時管制運転システム」(日立ビルシステム)や、「緊急地震速報」を受信すると警告灯が点灯、音声によるカウントダウン、ガスの遮断、ドアロックの解除、エレベータの最寄りの階への自動停止など、マンション全体がシステムとして対処する「緊急地震速報付」マンションも登場。
?商用車安全運転支援システム
レーダセンサーで先行車両との車間距離や相対速度でブレーキを制御するコントロールアシスト(日産)など、一般車への安全運転支援システムの実用化が進む一方、商用車の安全運転支援(「ギガ先進予防テクノロジー」「みまもりくんオンラインサービス」<いすゞ>)も大きな動き。
?ロボット音楽プレーヤー
ロボット技術を使った音に合わせて動く音楽プレーヤー(ミューロ(ZMP)、ローリー(ソニー>)が登場。家族や仲間皆んなで音楽を楽しんだり、パソコンを使って動きのプログラムを自分で作成するなどの新しいリスニングスタイルを提案している。
?RTミドルウェアの標準化
日本のロボット用ミドルウエア(RTミドルウエア)をベースにしたロボット技術の仕様が国際標準化団体OMGで正式に承認され、正式発行。 これにより、今後ソフトウエア開発の効率化やソフトウエアの再利用が進み、ロボット開発のコストを削減でき、低価格のロボットが商品化できると期待される。
?トヨタの宣言
トヨタは理化学研究所と知能化についての共同研究や、次世代車載情報プラットフォームやOSでのNECとの共同開発を発表。 また人に役立つパートナーロボットの取り組みについて、2010年代の早い段階での実用化を目指すという。
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