メーカーのリスクマネジメントの難しさをあらためて思い知らされたトヨタ車のリコール問題。
初動対応の甘さとトップの説明の遅れが傷を大きくしてしまった。
トヨタはアメリカの公聴会で電子制御スロットル・システムの不具合について「システムに異常が生じたときに燃料の供給を止めるなどのフェイルセーフが働く」ことを社内の検査で繰り返し行っており、安全性は確保されていると説明した。
製品の安全性の確保については、大きくわけて「機能安全」※1と「本質安全」※2とがあるが、複雑な電子システムの塊となったクルマは「機能安全」を高めることが要求され、またそれが自社内での評価でなく、外部の機関により公に認証されることが必要になってきている。
しかし、日本を代表する典型的なモノづくりのメーカーであるトヨタは、その底流に職人的な「本質安全」の思想があるようで、それはモノづくりにとっては大切なことでも、電子化され、グローバル化してしまった現代のクルマにとっては、落とし穴に陥る危険性があるということだろう。
サービスロボットの安全性の確保は、音声認識技術と共にそれに縛られていると袋小路に陥る長年の懸案事項だが、昨年「生活支援ロボット実用化プロジェクト」(NEDO)がスタートし、日本としてのサービスロボットの安全性の基準づくりが進められている。
関係者によると「機能安全を満たしたロボットを作り、それを公正な外部機関が認証する」ドイツ型の安全性確保の方向に向かうのではないかとのこと。
サービスロボットの安全性について神経質なまで慎重な日本のモノづくり企業は、今回のトヨタ車のリコール問題によって、ますます強固な安全神話の殻に閉じこもる傾向にあるが、禍転じて福と為す、積極的な行動を求めたいと思う。
そして同時に、ロボットを使うユーザーもリスクを受け入れる覚悟と、行政によるリスクを許容する社会マインドの醸成支援が必要だ。
(※1)機能安全 機能が故障した場合でもシステムの安全性を確保する仕組み。
(※2)本質安全 危険の原因を取り除くことによって安全性を確保する仕組み。
2010年2月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カー>
・通信費無料で各種情報サービスを利用できる「リンクアップフリー」を開始 (ホンダ)
<ロボティック システム>
・安全・エコナビゲーションシステム「See−T Navi」を開発 (ヤマト運輸とNEC)
・表現豊かにしゃべる機能を付加した歌声合成ソフト「VOCALOID−flex」を提供 (ヤマハ)
・奈良・総合技術研究所で「スマートハウス」の共通ソフト開発と実証実験を開始 (大和ハウス)
・エレベータシャフト内のアスベスト除去ロボットを開発 (大成建設)
・高度なロボット制御システムも構築できる「LabVIEW Roboticsモジュール」を発表 (日本NI)
・屋内外でのシームレスな位置測位を可能にする屋内GPS送信機を製品化 (日立産機システム)
・人に優しく快適に作業できる空間づくりを目指したオフィスライティングシステムを発売 (岡村製作所)
・「WILLCOM CORE XGP」を活用した丸の内シャトル車載カメラ映像伝送・配信の実験を実施 (ウィルコムなど)
・省エネを推進するオプションソフト「カメラ省エネシステム」を開発 (三洋電機)
・ビルの空調・照明設備を連携制御できるシステムを開発 (三菱電機)
・共創支援技術を組み込んだロボットシナリオの共創ウェブサイトを公開 (NEC)
・小型ヒューマノイド・ロボット「PALRO」の教育機関モデルを販売 (富士ソフト)
<ロボティック ミッション>
・ヒューマノイドロボットを共同開発 (GMとNASA )
現代美術では、コンピュータと新しいテクノロジーを利用した様々な試み(デジタル・アート、メディアインスタレーション、アート・パフォーマンスなど)が日常的に行われているが、バンクーバーオリンピックの開会式は、さながらカネと時間を存分に使った壮大なテクノロジー・アートの発表会のようだった。
特に繋ぎ目がまったくわからない複数プロジェクターによる映像は、ある場面では手書きのアニメーションのように繊細であり、またある場面では映画「アバター」の1シーンのように立体的で、その美しい演出に魅入られた。
現在、家庭用プロジェクターとカメラを用いた新しいインターフェースの開発(「SEATEC JAPAN 2009」や「DEGITAL CONTENT EXPO 2009」参照)が盛んに行われているが、今後、バンクーバーオリンピックの開会式に刺激されたイベントやアートが増えていくだろう。
それにしても、日本選手団のユニフォーム。
デザイン面でダメであるなら、ドン小西氏が指摘するように、「こんなに薄いのに寒くない」といった独自のハイテク素材でアピールできないものか。
ロボカーサ・ドットコム内で取り上げるほどではないけど、ちょっとだけ気になる付加価値商品を紹介する。
今回は、?エディアのポータブルナビ「MAPLUS」シリーズを取り上げる。どれもキャラが立っていて、おもしろい。
MAPLUS 闘魂ナビ
アントニオ猪木本人の音声でルート案内してくれるナビゲーション。
ナビのオープニングBGMは猪木のテーマ曲「炎のファイター - INOKI BOM-BA-YE - 」。自車位置も猪木(ショートタイツ、ガウン、スーツの3種類) のアイコンに設定可能。また、「猪木ヒストリー」として約50枚のスライドショーを搭載しており、渋滞で画面が移動しなくなると、自動的に名場面が写される。
その他、ナビゲーション音声を有名声優の声に切り替えることもできる(音声データはオフィシャルサイトからダウンロード) 。価格は、2万9800円
MAPLUS きせかえパック
地図画面の自車アイコンをアニメキャラクターに変更(きせかえ)できる。
「タチコマ」が道案内する「攻殻機動隊 S.A.C.」と、高校生執事「綾崎ハヤテ」や白皇学院の生徒会長「桂ヒナギク」が道案内する「ハヤテのごとく!!」がある。価格はいずれも1890円。
3月には倖田來未のオリジナル音声入りカーナビ『KODA KUMI Driving Navi 〜倖田組〜』が発売される予定。価格は49,800円。
北海道大学の進化生物学の研究者によると、働きアリを「よく働くアリ」と「ほとんど働かないアリ」に分けて、別の集団にシャッフルしても、一定の割合で「働き者」と「怠け者」に分かれるのだそうだ。
これは、働きアリも疲れて休息するので、「働かないアリ」がいることで、働き方に差がでるよう誰も働かなくなる時間を減らし、安定した労働力を保つ集団維持の仕組みなのではないかとみられている。
組織としての会社も社員全員が優秀というところは少なく、10人いれば、そのうちの3人が利益を産み出し、5人は可もなく不可もなく、2人がたいした仕事をしていないという感じだろうか。
会社にとって優秀な社員が人間としてできた人物であるかは別で、優秀である分自己主張も強くなり、人間関係がギスギスしがち。そんな中、たいした仕事をしていないと思われている社員が「潤滑油」となって、会社がうまく回っているケースは多いもの。
「あの人がいるとホッとする」という存在は、組織として重要だ。
なにかにつけゆとりのなくなってきている世の中で、具体的に役に立つわけではないけれど、人とコミュニケーションできる「ホッとする存在としてのロボット」の需要は大きいと思うが、タスクが明確でないだけに技術的には高度であり、まだまだ当分は「ホッ」とする前に「イラッ」としてしまう?
参考 : 読売新聞 (2009年11月28日)