これまでのハリウッド映画や、日本のアニメに出てくるロボットの描かれかたは、概ね、
・ロボットに意思や心がある
・一人の天才(または狂気の)科学者(工学者ではなく)によって作られる
・ロボット技術は進んでいるのに、ほかの科学技術は現在とたいして変わらない
ロボットの実用化やビジネス化に専門で携わっている身からすれば、映画が描くロボットがあまりにも現実とかい離している現状をなんとかしたいと思っていた。
そこで、数年前から映画関係者などに企画を持ち込み、シナリオ作家や映画監督にロボットの実情を出来る限り説明して、シナリオを書いてもらったのだが、彼らが描くロボットはどうしても上記の範疇のようなロボットであったり、CGやSFXに頼った作りになってしまう。
そうじゃないんだよなぁ、違うんだよなぁ、なんでもっと普通に描けないのかなぁ。
で、ちゃんと伝わらないのなら自分で描こうと書いたのが、今回の「ロボティック・ドラマ」である。
実際、自分でシナリオを書いてみて思ったのは、「一人の天才科学者が造形する意思を持ったロボット」を描くことは、非常に簡単だということ。擬人化されたロボットは感情移入させやすい。
そこで、「ロボティック・ドラマ」には次の3原則を当てはめた。
1.ロボットは意思や心を持たない。
ロボットが自らの意思に基づいて行動することはないし、感情で動くこともない。
2.ロボットが一人の天才科学者から誕生するようなことはしない。
3.ロボットだけが突出しない。
ロボットはその時代の科学技術と共にあり、ロボットだけが進化するのではない。
その内容の出来については実際に観てもらって、判断していただくしかないが、今言えることはこれまでのどのロボットの描かれ方とも違うものになったかなということ。
「ロボティック・ドラマ」とは、
ロボットと暮らす上質で新しい生活 =「ロボティック・ライフスタイル」 をなるたけリアルに描くドラマであり、
それは、ロボティック・コメディとロボティック・トラジティからなっている。
ロボティック・コメディとは、「ロボットにあたかも意思があるかのように人間が感じることから生じる喜劇」であり、
ロボティック・トラジティとは、「ロボットが人間の意思を正確に実行・反映することで起こる悲劇」。
以前より準備をしてきた、ロボット実証実験シアター 「ロボティック・ドラマ」を4月29日(祝)に横浜で上演する。
内容は、夫婦とロボットが繰り広げる大人のコメディで、地域で活動している市民劇団とロボットとの共演は恐らく世界初の試み。
劇中では「ライフログ」や「見える化」などこれからの日常生活に身近な先端技術も登場する。
2010年3月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カーサ>
・商品追記 → FinePixの項参照
・「エコ充電モード」搭載の電動ハイブリッド自転車「エネループ バイク」を発売 (三洋電機)
<ロボティック・カー>
・商品追記 → nav−uの項参照
<ロボティック システム>
・NEW商品 → VOCALOID−flex
・サービスエリア清掃ロボットシステムを開発 (富士重工)
・法人向けテレマティクスサービス開始 (トヨタ自動車)
・昭和大学に歯科患者ロボットを納入 (テムザック)
・業務車両向けカーナビ「Solid Navi」用運行実績解析ツールを発売 (日立オートモティブシステムズ)
・東京・世田谷の「ソーラー駐輪場」に電動ハイブリッド自転車100台を納入 (三洋電機)
・再生医療向けに「細胞自動培養ロボットシステム」の実用機を開発 (川崎重工と産総研)
・温度・湿度・衝撃センサ付きRFIDタグ活用の物流品質トレーサビリティサービスを開始 (NEC)
・赤ちゃんロボットと集団コミュニケーションロボットを開発 (JST)
・エレベーターの輸送効率を向上させる「セキュリティーシステム連動・エレベーター行先予報システム」を発売 (三菱電機)
<ロボティック ミッション>
・脳波を測定して意思伝達を行う「ニューロコミュニケーター」を開発 (産総研)
東京都が児童ポルノの規制のために議会に提出した「青少年健全育成条例改正案」について、表現規制につながるとして漫画家や出版関係者から抗議の声が挙がった。
その改正案によると、「18歳未満として表現されていると認識できるキャラクター」を「非実在青少年」と言うそうだが、この言葉を聞いてすぐに思い浮かべたのが、歌声合成ソフト(ボーカロイド)のバーチャルキャラクター「初音ミク」。
「初音ミク」については、昨年のSEATEC JAPANで歌を披露した「HRP-4C 未夢(ミーム)」にも音声ソフトとして搭載され、その完成度の高さに感心したが、アニメやゲームに詳しい知人から聞いて見た「ミクフェス」の映像には、大変衝撃を受けた。
「初音ミク」に詳しい方からはなにを今さらといわれるかもしれないが、生バンドをバックにCGのミクが透明なスクリーンで踊りまくり、その姿に2000人を超える観衆がケミカルライトとネギ型風船で熱狂する様は、3D映画「アバター」よりも、はるかに刺激的。
さまざまな人が「初音ミク」のために作ったオリジナル演奏曲は、どれも「初音ミク」のキャラクターを大切にしながらも、かなり過激な歌詞の曲もあったりして、カウンターカルチャー的な雑多な面白さがある。
「初音ミク」というバーチャルなアイドルをユーザー自らが作り、皆で共に育てているというある種の一体感は「初音ミク」の面白いところだと思うが、バーチャルな世界がリアルな世界と融合するライブステージは、今後の世界のエンターテインメントに大きな影響を与える可能性があると感じた。