今年のロボット関連の動きをまとめてみた。
◎はやぶさが、往く
7年振りに地球へ帰還した小惑星探査機「はやぶさ」(「はやぶさ」の項参照)。
月以外の天体から物質を持ち帰り、「500点満点」の成果を上げる。奇跡の物語として社会現象に。世界初の宇宙ヨット「イカロス」も予定していたミッションすべてに成功。国民の宇宙への関心が高まる中、日本初の惑星探査に挑んだ「あかつき」は金星への軌道投入に失敗。6年後に再チャレンジを目指すことに。予算増額を目論むJAXAの思惑通りにはいかず。
◎自律と電動とスマートフォン
Googleやフォルクスワーゲングループが自律走行車(ロボットカー)の技術開発を進める中、富士重工が、ぶつからないクルマ(「新型EyeSight」の項参照)を販売。
ヤマハ発動機と本田技研工業が電動二輪車を発売。一方、輸入電動二輪車が家電量販店やホームセンターで発売される。また、電動アシスト自転車の販売台数がガソリン二輪車を抜いた。
トヨタ自動車は、トヨタ車以外のユーザーも利用できるプローブ情報のオープン化、スマートフォン向けテレマティクス「スマートG-BOOK」(「G-BOOK mX」の項参照)のサービスを開始。
◎ロボットコンテンツ
ロボット実証実験シアター「ロボティック・ドラマ 第一幕 Sex Bargain Robot」(ロボットメディア)(「ロボティック・ドラマ」の項参照)や、ロボット演劇「働く私」(大阪大学など)が上演された。
また、「HRP-4C未夢」(産総研)がダンスパフォーマンスを披露。
◎さきがけモデルとなるか
神奈川県はロボットを介護施設に無償貸与し、ロボット普及に向けての評価を行うモデル事業をスタート。介護現場でのロボット導入に対する課題と解決策を検討し、2010年度中にその成果を公表する。
今年のキーワード
スマートハウス、スマートグリッド、電動二輪車、生体情報センサーシステム ・・・
そして、はやぶさ はやぶさ はやぶさ
◎ロボカーサ・ドットコムで取り上げた商品
<ロボティック・カーサ>
旅ナビ (パナソニック)
スリープスキャン (タニタ)
エアリーガード (アイシン精機、トヨタ自動車、トヨタホーム)
シモンズレスティーノ (シモンズ、パナソニック電工)
<ロボティック・カー>
新型EyeSight (富士重工)
<ロボティックシステム>
インテリジェント非常通報システム (セコム)
セキュリティーシステム連動・エレベーター行先予報システム (三菱電機)
VOCALOID−flex (ヤマハ)
◎ロボカーサ・ドットコムで取り上げるほどではないけど、ちょっとだけ気になった商品
ちょっとだけ気になる商品(21) (2010.2.2)
ちょっとだけ気になる商品(22) (2010.2.9)
ちょっとだけ気になる商品(23) (2010.5.6)
ちょっとだけ気になる商品(24) (2010.12.3)
今年下半期のロボット関連トピックスを挙げてみた。
◎生活者ファースト
神奈川県は公募により選ばれた介護7施設に対し、「HAL福祉用」、「眠りSCAN」、「パロ」などを無償貸与し、貸与先にロボット導入前、導入後に関する評価シートを記入してもらい、介護現場でのロボット普及に向けてのモデル事業をスタート。ロボット導入に対する課題と解決策について検討する。
また、国は高齢者・障害者の生活支援技術開発を重点8分野のひとつに選定にした。
◎病院丸ごと
パナソニックは「錠剤鑑査支援ロボット」を開発。昨年の「注射薬払出ロボット」等と合わせ、薬剤業務をロボットに置き換えるソリューション提案(病院丸ごとロボット化)が評価され、第4回 ロボット大賞「サービスロボット部門」を受賞。
◎人間型ロボット
「ASIMO」(ホンダ)が2000年10月に二足歩行に成功してから、今年で10年。
「HRP-4C未夢」(産総研)は、人型ロボットの全身動作を簡単に作成できるソフト「Choreonoid(コレオノイド)」を用いて、歌を唄い、ダンスのパフォーマンスを披露。
米Willow Garage社はパーソナルロボット「PR2」の一般販売を開始した。
◎ロボティック ミッション
JAXAは惑星探査機「あかつき」の金星への軌道投入には失敗したが、宇宙ヨット「イカロス」を太陽光圧だけで加速し、姿勢を制御すること、薄い太陽電池での発電など予定していたミッションすべてに成功。
国は2020年に車両型ロボットによる月探査の実施を発表した。
ニューメキシコ宇宙空港公団は宇宙滑走路の供用を開始。来年、ヴァージンギャラクティックによる宇宙旅行ツアーの発着に利用される。
◎ロボティック・カー&パーソナルモビリティ
日産自動車は高感度レーダーセンサー使った衝突回避技術及びクルマの周囲の移動物を検知する技術を開発。
フォルクスワーゲングループと米スタンフォード大学の共同開発チームは、アウディをベースとした無人走行車(ロボットカー)で米国コロラド州のパイクスピークの登頂に成功。
Googleもロボットカーの技術開発を進めており、公道を使用してすでに14万マイル(約22万5千キロ)以上の試験走行を行っていると発表した。
ヤマハ発動機は3年振りに電動二輪車を発売。ホンダもビジネス用途向け電動二輪車のリース販売を2011年4月から開始する。
サンワハイテックはパーソナルモビリティ「RODEM」を病院や介護施設内移動用ビークル「STAVi」として来年発売すると発表した。
◎カーナビのオープン化
トヨタ自動車は、トヨタ車以外のユーザーも利用できるスマートフォン向けテレマティクス「スマートG-BOOK」(「G-BOOK mX」の項参照)のサービスを開始。
◎その他
顔認識センサー搭載の新型自販機をJR品川駅設置(JR東日本ウォータービジネス)、
小型の遠隔操作型アンドロイド「Telenoid R1」を開発(ATRと大阪大学)。
家電量販店のビックカメラが電気自動車「i-MiEV」を店頭販売して話題になったが、既に輸入電動二輪車(日本仕様)はビックカメラ、ノジマ、エディオン、ヨドバシカメラなどで販売されている。
2010年に発売されたヤマハの電動二輪車「EC-03」をはじめ、大手メーカー(ヤマハ、ホンダ、スズキ)の電動二輪車の販売ルートは、既存の二輪車販売店を中心に販売されるのに対し、ベンチャーなど中小企業はその販売ルートを家電量販店、ホームセンター(ホーマック、コメリ、ケーヨーなど)、自動車電装関連会社などに拡げつつある。
今回まとめたパーソナリティモビリティのリポートで取材したある企業の担当者は、今後の電動二輪車の可能性について、次のように述べている。
「電動二輪車は、モーターとバッテリーとコントローラーがあれば作ることは簡単である。あとは販路を持っていればいい。なので、モーターはこれ、車体はこれ、色はこれといった必要なパーツを組み合わせてインターネットでカスタマイズして売る、パソコンのDELLのようなモデルが出来ると考えている。このモーターとバッテリーだったら、使用距離はこれくらい、最低限走ればいいから5万円で欲しいとか自分の用途に合ったバイクを購入することが出来るようになる」。
既に、米国エレクトリック・モータースポートの電動スポーツバイクでは、バッテリー (鉛・ニッケル水素・リチウムイオン)、モーター (低速型・標準型・高速型)、ギア (低速型・標準型・高速型)がそれぞれ3タイプ用意され、加速重視型に仕立てるにはリチウム+低速モーター+低速ギアの組み合わせにするなど、自分好みのバイクにセッティングできる。また、車両とPCをリンクさせることで、スロットル開度、回生ブレーキ、最高速度、走行可能距離などの変更や、バッテリー状態の分析、エラーの検出もできるようでだ。
インターネットを通じて、何百種類のパーツの中から自分好みにカスタマイズされた電動二輪車が、中国やインド、ベトナムなどで梱包・発送され、自宅で組み立て、充電し、街中を疾走する日も近いかもしれない。
ロボカーサ・ドットコム内で取り上げるほどではないが、ちょっとだけ気になる付加価値商品を紹介する。
・イオンミスト ステンレス・クリーン 白くまくん Sシリーズ (日立アプライアンス)
音を検知するセンサーと、床や壁の放射熱を検知するセンサーを搭載したエアコン。
「音見張り」機能では、テレビの音を検知すると運転音を抑えてテレビの音を聞こえやすくしたり、掃除機がけの音を検知すると、空気清浄運転になる。オープン価格。
・ココナッチ (ユカイ工学)
気持ちを伝えるソーシャルロボット。
パソコンやケータイからメッセージを受信すると、光ったり揺れたりして、メッセージに込められた送り手の気持ちや言葉を伝える。また、再生直後に触ると送り手にメッセージを返信することができる。商品説明のビデオクリップはとてもいい感じ。女友達や恋人同志にはいいかもしれない。価格は5,500円。
・レーザーセンサー (セコム)
レーザーによる屋外侵入監視センサー。
水平方向に180度、30m先まで届くレーザービームで敷地内の異常を扇状の「面」で監視。監視範囲は自由に設定できるので、必要な場所だけ監視することも可能。状況変化に応じて、監視範囲を自動的に再設定する自己学習機能を備えている。侵入者を検知すると、コントローラーが自動的に警報音で知らせる。
価格は320,000円(税別) ※レーザーセンサー1台、コントローラー1台を設置の場合。工事費用は別途。
2010年11月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック システム>
・RODEMを継承したパーソナルモビリティ「STAVi」を開発 (サンワハイテック)
・「錠剤鑑査支援ロボット」を開発 (パナソニック ヘルスケア)
<ロボティクス>
・「第4回 ロボット大賞」を発表 (経済産業省)
・浦環教授・受賞記念特別講演会開催 (東大生産研)
・イベントレポート 「次世代ロボットビジネスフォーラム」
・イベントレポート 「四半世紀後の海中工学を問う 浦 環教授・受賞記念特別講演会」
・イベントレポート 「第4回 ロボット大賞」