東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、連日、国内外のロボット(無人化技術含む)を現場に導入しよう(導入した)というニュースが流れている。
●導入している(導入した)と報道されているロボット
・RQ-16A Tホーク(米・ハネウェル社) 軍事用無人ヘリコプター
・RQ-4グローバルホーク(米・ノースロップ・グラマン社) 軍事用無人偵察機
・無人飛行機(エア・フォート・サービスが運用)
・無人油圧ショベル(建設無人化施工協会) 無線による遠隔操作システム
●検討中又は検討されたと報道されているロボット
・タイロン(米・キネティック社) 爆発物処理ロボット
・パックポッド、ウォーリアー (米・アイロボット社) 爆発物処理/運搬ロボット
・遠隔操作ロボット(独) 原子炉の修復や汚染物質除去
・遠隔操作ロボット(仏・アルバ社) 原子炉の修復や汚染物質除去
・防災モニタリングロボット(原子力安全技術センター) 放射線モニタリングなど
・クインス、ケナフなど(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・能動スコープカメラ(国際レスキューシステム研究機構) レスキューロボット
・アンカーダイバー3号機 AK-3(東京工業大学)水中探査ロボット
無人化システムの活用を検討する「リモートコントロールプロジェクトチーム」も発足し、現場に投入可能なロボットや無人化システムを精査して、東京電力との調整が始められており、また、災害対策に寄与するロボット技術を発信する「対災害ロボティクス・タスクフォース」(日本ロボット学会、日本機械学会、計測自動制御学会)も動き出している。
この重大な危機に多くのロボットが現場に導入され、国民の期待に応える結果(効果)を出すことで、ロボットが信頼を得、これを機に今後様々なロボットの導入、普及に弾みがつくなら、こんなにうれしいことはない。
震災と原発事故を目の当たりにして、ロボット関係者もなんとか現場の役に立ちたい、あるいはここで名をあげておきたいと熱を帯びている状況かと思うが、使う側からすれば、信頼できないものに命(責任・評判含む)を預けるわけにはいかないので、大山鳴動して鼠一匹、の結果として、研究のための開発、メシの種だけの開発にまた多額の税金が使われることになりはしまいか、科学技術という甘い汁に群がる文化を身にまとった黒い輩がまた一層増えやしないか、心配でもある。
2011年3月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カー>
・オーナー向け情報サービス「インターナビ・リンク」の提供を開始 (ホンダ)
・ITS技術を活用した被災地での通行実績情報を作成 (ITS Japan)
<ロボティック システム>
・テニスなどライン判定の英ホークアイを買収 (ソニー)
・指紋・顔認証技術を応用した個々の果物を写真で識別できる技術を開発 (NEC)
原子力安全技術センターが所有する2機の防災モニタリングロボットを東京電力に貸し出した。
そのロボットは、「モニロボA」(ガンマ線計測及び赤外線カメラによる表面温度撮影など)と、「モニロボB」(ガンマ線計測及び中性子線量測定、放射能測定のためのダスト収集、可燃ガス濃度検知など)。
モニロボ専用の運搬車で災害現場に接近。モニロボは遠隔操作 で、毎分最大40mでの自走可能。また、ロボットが収集した計測結果や各種画像は運搬車内に設置したモニターで確認・記録をすることができる。
遅きに失するぎりぎりの登場だが、やっと災害現場でロボットが役立つ可能性がある。
国はこれまで、原子力プラント内作業用ロボットやレスキューロボットなどの「極限作業ロボット」の開発に何十億円もの税金をつぎ込んできた。
この重大な危機に、それらのロボットを使わなくて、いつ使うのか。
人に代わって、危険な作業を代替するのは、ロボットの本来の使命であるはず。今こそ、ロボットが活躍する姿をみせてほしい。
それにしても、遠隔操作で放水できるロボット放水車1台投入出来ないのは、一体どういうことなのか。
2011年2月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック ミッション>
・ロボノート2を搭載したディスカバリーの打ち上げに成功 (NASA)
<ロボティクス>
・ロボットプロジェクトの成果報告会を開催 (NEDO)
NEDOのロボットプロジェクト成果報告会が行われた。
報告されたのは、平成18年度から22年度に実施された「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」(以下Aプロ)の7件と、「基盤ロボット技術活用型オープンイノベーション促進プロジェクト」(平成20年度〜22年度)の1件。
報告内容自体に目新しいものはなかったが、総額20億円以上の予算で進められたAプロは、2013年までを目途に実用化、商品化を目指していくことになる。
とはいえ、実際のところ、商品化のニオイを感じるモノもあれば、どうかなというモノもあり、Aプロのプロジェクトリーダー・平井氏も述べていたように、肝心なのはそれらが実社会でちゃんと使われるモノになること。それらが社会に受け入れられ、普及することで我々の生活がより豊かになり、幸せが実感できる、そのことが重要だ。
「おわり」ではなく、「はじまり」。
このプロジェクトの真の成果を見守りたいと思う。