7月20日、海洋基本法が施行された。
日本の国土は、世界で60番目の大きさですが、領海と排他的経済水域を合わせると世界6番目になる海洋大国。
昨年、文部科学省より今後10年間の深海探査技術の開発計画が発表された。
それによると、
・地球深部探査船「ちきゅう」を使って、海底4000mの深さから地球深部7000mを掘り進み、マントルの地質試料を取得する
(現在の地球深部記録は2111m)
・新型の深海巡航探査機で、3000kmの連続航行と深度6000mの無人探査を行う
(現在の連続航行記録は317km)
・新型の大深度高機能無人探査機(深海作業ロボット)を使って、深度7000mでの地震計やケーブルの設置・修理、また微生物の試料採集を遠隔操作で行う
などの「海洋地球観測探査システム」を今後約350億円をかけて推進していくという。
海面下の観測は、地球温暖化や地震のメカニズムを知る上での貴重なデータとなり、また海面下の微生物の採取は、医療や他分野への応用が期待されている。
しかし、なによりポイントは、
この「海洋地球観測探査システム」が安全保障に貢献する「国家基幹技術」のひとつに位置づけられている点。
つまり、日本の排他的経済水域を高性能ソナーや各種センサーを駆使してくまなく探査することで、精密な海底地形図を作り上げ、将来のエネルギー源として期待されるメタンハイドレートなどの資源探査を実施することにある。
竹島、尖閣諸島、沖ノ鳥島周辺海底下で、日中韓台4ヶ国によるエネルギー安全保障対抗戦が始まっている。
<つづく>
昨年、対人地雷に関する発表展示会があった。
内戦や戦争で埋められている対人地雷は世界で1億個以上。
毎年1万5千人にのぼる犠牲者が出ている。
実際の現場は、安全な地帯と地雷原とが明確にわかれている場合が多く、特に最近では大型重機で地雷を爆破させた後、金属探知機と地雷犬を使って最終確認を行っているという。
日本は2002年から「人道的な観点」から地雷の探知・除去の技術研究開発をスタートさせ、これまで地雷探知車などを開発、実証実験を行ってきた。
荒れ地やぬかるんだ大地では概ねよい結果が出ているようだが、草木がうっそうと生い茂った土地での探知は、今後の課題のひとつ。
また最近の対人地雷はプラスチック製が多くなり、金属探知機で検知できないことがあるため、電磁波や中性子を使った「爆薬自体を直接探知」する技術の開発が進められている。
地雷探知・除去は、「人に役立つロボット」の開発であり、また誰もが納得する「目に見える国際貢献」でもあるだけに、コスト面も含めはっきりした成果が出ることを期待している。
2016年のオリンピック大会招致に、東京都が立候補した。
東京都が目指すのは「世界一コンパクトな大会」。
サッカーとセーリングを除く、競技施設、選手村、メディアセンターなどが10km圏内にあるというもので、交通、病院、宿泊などの既存インフラを活用することで経費の抑制と環境への負荷を謳っている。
今後は、東京都が提唱しているように科学技術立国日本の象徴として、ロボットや科学技術を前面に押し出しての差異化キャンペーンを行っていくことでだろう。
ただし、東京都の開催概要を見る限り、今風の言葉の羅列という印象で、主催者側が言っているほどには、21世紀型の新しいオリンピックという感じがしない。
2016年大会には、ニューヨークやこれまで未開催地のアフリカ、中南米諸国も立候補する。
2008年に北京大会が開催されること、TVの放送権がらみで十数年に一度は夏季冬季いずれかのオリンピックを米国で開催することを考えると、日本は苦戦が予想される。
招致活動に膨大なカネを突っ込んだにもかかわらず惨敗し、結局オリンピック委員会にむしりとられただけの大阪府。
無理な開催で県民に財政負担を強いている長野県。
「カネ」がらみの嫌な話が少ない「オリンピック」こそ、21世紀型オリンピックの理想と思うが、どうだろう。
それとも東京都が掲げる大会理念、「礼儀」こそ、理想なのか。
世界で延べ数百億人が観戦するFIFAワールドカップ。
昨年のドイツ大会準々決勝開始前、それぞれのチームの主将により、それぞれの国の言葉で、
人種差別反対(Say No to Racism)のメッセージが読み上げられた。
ヨーロッパにおけるアフリカ系選手への侮辱発言やかつての植民地対旧宗主国との感情的もつれなど、サッカー試合における人種差別は大きな社会問題になっており、世界で延べ数百億人が観戦し、圧倒的影響力のあるワールドカップでの反人種差別アピールは、実に効果的なキャンペーンだったと思う。
スポーツは競技として大きくなればなるほど、またスター選手が登場して、華やかな話題を集めれば集めるほど、
そこに「カネ」が動き、その「カネ」を求めて、様々な「思惑」が錯綜し、思いも寄らぬ「力」が働く。
作年発覚したスケート連盟のドタバタは、みっともない実例だ。
そんなスポーツ競技の頂点にあるFIFAワールドカップ。
「Say No to Racism」は、確かにすばらしいキャンペーンと思うものの、そこには当然、
次回南アフリカ大会成功のための「政略」と「カネ」が蠢いていると考えるべきだろう。
ロボットによるサッカーの世界大会「ロボカップ」アトランタ大会で、
チーム大阪が「ヒューマノイドリーグ」4連覇を達成した。
昨年行われたFIFAワールドカップ・ドイツ大会のフランス対韓国の試合。
フランス代表ジダンは2度目の警告を受けて退場処分となり、その不満を扉にぶつけた。
競技場はこの扉を
「国際サッカー連盟に弁償してもらおうとも思ったが、熟慮の結果、サッカー史上、最も偉大な選手の1人に蹴られてヘコんだ扉として保存する」
ことにした。
ロボカップは「2050年にサッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」ことを目標にしている。
退場処分に怒り、扉を蹴飛ばすほどの「感情表現」できる最初のロボットには、是非「Zidane」という名をつけてほしいものだ。