<つづき>
今年の箱根駅伝は各大学間のレベル差がなく、戦国駅伝と言われていた。
特に往路は、抜きつ抜かれつのおもしろい展開になった。
カーツワイル氏はその著書「The Singularity is Near: When Humans Transcend Biology」(2005年)※の中で、人類は2045年までにSingularity(特異点)に到達するとしている。
「特異点」とは、「様々な科学技術の指数関数的成長がピークに達する点」のことで、人間の知能と機械知能との分岐点を指す。
著書「スピリチュアル・マシーン」で、この特異点のわかりやすい例としてチェスの発明者と中国の皇帝の話を挙げている。(要約)
『皇帝はこの新しいゲームにとても夢中になり、発明者にほしいものを何でもやろうと言った。
発明者は、「最初の升目に米を一粒。二番目の升目に米を二粒。三つ目の升目に米四粒。そして四つ目の升目に・・・」
皇帝は発明者の願いをすぐに聞き入れた。
そして32升目が過ぎたとき、皇帝は発明者に約40億粒の米を授けた。
しかし、やがて皇帝は破産してしまう。
なぜなら升目ごとに米粒の数が倍々に増していくので、最終64升目の米粒の数は、1兆1千八百万倍になってしまったから。
1940年代に最初のコンピュータが作られて以来、コンピュータの速度と能力はおよそ32回、倍々ゲームで増えてきた。
つまり、今の状況はチェス盤の半分を過ぎ、残りの半分に入ろうとしているところ』
21世紀も7年が立った。
テクノロジーの発達が機械知能を進化させ、われわれの知能を上回る段階に少しずつ近づいてきたのかもしれない。
そして、箱根駅伝5区・順天堂大学4人追い抜きのように、一気にわれわれの知能を抜き去る日が来るのかもしれません。
もちろんカーツワイル氏の予想通りの世界になるかどうかはわからない。でも「覚悟」だけはしておいたほうがよさそうだ。
※「ポスト・ヒューマン誕生」(NHK出版)
参考書籍 : 「スピリチュアル・マシーン コンピュータに魂が宿るとき」(翔泳社/2001年)
今年の元旦に再放送されたNHK BS「未来への提言」に発明家、起業家のレイ・カーツワイル氏が「テクノロジーの進化を予言する」として登場していた。
カーツワイル氏は21世紀のキーテクノロジーとして遺伝子工学、ナノテクロジー、ロボティクスを挙げており、特にナノテクとバイオテクが融合した超極小ロボット「ナノボット」が人体内部を駆け巡ることで、人間の寿命が劇的に延び、また身体能力が増幅される、としている。
カーツワイル氏が1999年に出版した「スピリチュアル・マシーン コンピュータに魂が宿るとき」(翔泳社)の中で、
「テクノロジーは、本質的に加速的プロセスであり、テクノロジーの進化は指数関数的に加速する。
2029年には1000ドルのコンピュータが人間の脳1000人に相当する計算能力を持つようになる」とし、
その先には、ナノボットなどにより強化された肉体(ハードウェア)を得た人間の脳(ソフトウェア)は、
「最終的にハードウェアとその寿命から独立したものになり、人間の不死性は、頻繁に注意深くバックアップをとるという問題に変質する」と述べている。
つまり脳はソフトウェアとして「不死の生命体」になる、という。
<つづく>
昨年、もっとも心躍る商品は何だったかといえば、それはホンダジェットの登場だった。
ホンダジェットは、ホンダが19年間かけて技術開発を行い、2010年の量産を目指している小型ビジネスジェット機。
昨年行われたJAXAのシンポジウムで講演した本田技研工業の山田清実氏によると、1機365万ドル(約4億3800万円)のホンダジェットは米国において「2日で178機、3年分の受注を5日で達成した」とのこと。
講演の中で山田氏は、ホンダジェットの開発が決定した経緯について、
「社内の経営会議で、誰かが『本田宗一郎の夢でありました航空機事業の件ですが』と切り出すと、誰も文句が言えなくなり、すんなり企画が通ってしまった」という、いかにもホンダらしいエピソードを紹介していた。
ちなみにASIMOは「本田宗一郎の夢」ではなく、「夢は実現するものである」という本田宗一郎の意志を受け継ぎ、開発されたロボット。
だからだろうか、昨年設立されたロボットビジネス推進協議会のメンバーにホンダの名前はソニーと共に、ない。
経済産業省で進めているロボット関連政策とプロジェクトは、現在、5つ。
?人間支援型ロボット実用化プロジェクト
(H17〜19年度) 8億6千万円 × 3年
?次世代ロボット共通基盤開発プロジェクト
(H17〜19年度) 3億8千万円 × 3年
?サービスロボット市場創出支援事業
(H18〜19年度) 4億2千万円 × 2年
?戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト
(H18〜22年度) 10億7千8百万円 × 5年
?「ロボットの知能化のための開発プロジェクト」
19年度 19億円
この開発プロジェクトは、省庁を超えた科学技術政策の方針を決める総合科学技術会議(議長は首相、関係閣僚と各界の有識者14人が議員を務める)が、総額1兆円規模の概算要求の妥当性を審査し、優先順位をつける評価査定で、S評価(積極的に実施)となり、予算化されたもの。
「ロボットの知能化」は、愛知万博に向けて行われた「次世代ロボット実用化プロジェクト」(H16〜17年度・約50億円)から始まった一連のサービスロボット実用化のための国の支援策のトリ(?)を担うプロジェクト。
H16〜23年度の8年間に経済産業省が実施するサービスロボット関連支援策の総額は、おおよそ、
200億円。
国民が納得するロボットが本当に登場するのか、S評価の本当の真価が問われるのはこれからだ。
ヘビやゴキブリなどの生物の研究から、多くのロボットが開発されているが、昨年、爆弾探知にミツバチを利用する技術が開発された。
開発したのは原爆開発で有名な米ロスアラモス国立研究所。
ミツバチに爆弾のにおいをかがせ、そのあとで砂糖水を与える訓練を繰り返えすことで、爆弾のにおいに、花の蜜を吸うための管状の口を伸ばすようになるという。
ミツバチの驚異的な嗅覚を利用することで、イラクで頻発する仕掛け爆弾などを見つける狙いがあるようだ。
探知が訓練によりできるというなら、そのうち、浮気を探知するミツバチ籠を玄関先に置く家庭が登場するかもしれない。
気をつけたいものだ。