選挙がはじまると、朝から選挙カーからの「お願い」連呼に辟易する人も多いと思う。
候補者同士の車がすれ違うときなどは、周りの建物にこだまして騒音以外のなにものでもない。
候補者の側からすれば、選挙カーでの選挙活動は有権者に自分の名前と主張を広く効率的に伝える大きな武器であるし、なにより歩いたり、自転車で回ったのでは体力的にキツイ。
そこで思いつくのは、セグウェイでの遊説。
車が入れないような路地裏やでこぼこ地の公園など、どこへでも乗り入れることができ、車輪分ちょっとだけ高い位置から立ったまま演説も可能。
市区議選の移動手段としてはぴったしのように思うが、問題はいまだ公道を走れないこと。
道路交通法という巨大な壁が立ちはだかっている。
そこで選挙期間中だけ、せめての「ロボット特区」の特例として認めるわけにはいかないのか。
セグウェイを使った遊説は選挙カーよりずっと注目されるし、なにより環境にやさしいスマートな選挙戦になる。
東京大学の教授でもあった糸川英夫は、高齢化社会にふさわしい生き方として、人生を二毛作(定年までと定年後)として考えるのではなく、24時間で考えることの大切さを述べている。
東京大学総合研究博物館は今年、300万点を超える各種学術標本を活用した「モバイルミュージアム」を始めた。
モバイルミュージアムとは、博物館に収蔵されている学術標本を小型ミュージアム・ユニットに組み入れて、社会の様々な場所に展開・流動させる日本初の遊動型博物館のこと。
大学内にとどまることなく、積極的に街に飛び出し、空間を知的に変えてしまおうというもの。
この企画を知ったとき、なるほどそういう手があったかと、とても感心した。
人々が身近に芸術を親しめるようにと街中や建物、公園などに有名芸術家やデザイナーなどの作品を「大金」を出して設置するケースがよくあるが、単なる「モノ」の展示、「にぎやかし」に終わっている場合が多く、
今ではほとんど価値のなくなったコンテンツを知的空間に再活用するという「モバイルミュージアム」の発想こそ、役人は見習うべきだろう。
ちなみに、博物館には100万点を超える植物標本(押し花)があり、標本を乾燥させるのに使った新聞紙も、今となっては貴重な展示財産だ。
モンゴル、サハリン、マレーシアなど旧植民地の現地語新聞、日本語との併用版など約400紙あるという。
視点を変えることで、新たな価値を見出すまさに「逆転の発想」だ。
トヨタがNECなどと共に自動車搭載用の標準ソフトウェアを独自開発した。
現在のクルマは大量の半導体やセンサーにより、2億回/秒の演算ができる電子制御の塊であり、今後は道路側からの情報で危険を察知し、事故を防ぐ高度技術の実用化が期待されている。
現在の製造物責任(PL)法ではソフトウェアは対象外だが、今後、外部に委託したソフトウェアの不具合によって人身事故が発生した場合、責任の所在が問われることになりかねない。
またソフトウェア開発はマイクロソフトやインテルが得意とするところであり、
庇を貸して母屋を取られてしまったパソコンの二の舞にもなりかねない。
「標準ソフトウェアの独自開発」は、将来のロボットの姿とも重なる。
モノ作りとして、また理数教育として、とかくハード面ばかり注目されるロボットだが、ソフトウェアとの両輪で考える癖をつけていく必要があるだろう。
3月に能登半島沖で地震が起き、大きな被害を出した。
神戸・淡路、福岡、新潟、そして能登。被災地で起きた同じような映像が今回もまた流れた。
神戸・淡路の震災時に比べれば、政府の対応も災害派遣の動きも格段に向上はしている。また損壊したライフラインの復旧対応も進んでいるように思う。
しかし、TV映像で見る限り、情報収集ロボットが空中から活動しているとか、ロボットレスキュー隊がすばやく現地に到着したという情報は、なかった。
2002年に発足し、これまで国からの様々なプロジェクト予算を獲得し、レスキューロボットを「研究」している特定非営利法人国際レスキューシステム研究機構のホームページにも、何ら情報はなかった。
ロボットが客寄せパンダではなく、現場で実際に役立つまで、あとどれくらいの数の震災を経験しなければならないのか。
そして次回もまた「要素技術の研究」ということで終わるのか。
(つづき)
介護保険制度に関して。
『これまでもめまぐるしく変わる制度に翻弄されてきた苦い経験のもつ事業者にとって、「介護予防サービスに力を入れるべき」という流れに乗るべきか、それとも地域密着型に目を向けるべきなのか、どちらか一方に肩入れすることはリスクが大きく、介護予防サービスは、新たな仕組みだからこそ方向転換も容易と敏感に感じている事業者も多いのではないか。
また介護サービスに限らず、「地域」の役割の重要性にいち早く取り組んだ自治体に人が集まるようになり、より良い医療機関、より良い介護サービスを求めて、住民の移動が始まることも十分ありうる。どの「地域」を終いの棲家にするかということが今後のポイントになっていくのかもしれない』(サービスA社)
『介護費用はヘルパーの派遣費が大部分であるが、4月の介護法改正後は介護費用を抑える方向にあり、要介護の認定が厳しくなっている。
要介護できるヘルパーの数はいるが、実際の現場従事者は少ない。それは日本に居ないのではなく、ヘルパーなどの仕事の理想と現実が大きく乖離している。本来ヘルパーがやってあげられる仕事にシフトすべきだ』(メーカーB社)
『在宅でのリハビリサービスの診療・介護報酬の単価をあげてほしい。在宅でリハビリがきっちりできれば、病院側も短期間で患者を帰すことができる。患者の生活の場に戻ってこそのリハビリテーションである。
入院は短じかければ短いほど良いわけだが、在宅でのリハビリに不安があれば入院期間を長くせざるを得ない。
集中的に短期間で行う病院のリハビリは必要だが、高齢者の場合は早く返さないと環境の不適応をおこし、長期になると特に家族の受け入れが難しくなっていく』 (病院C)