(つづく)
2004年に「RT (Robot Technology)」のコンセプトを前面に押し出して作成された「ロボット技術戦略マップ」。
2006年のローリング(見直し)では、そのRTの考えを「家庭や極限環境」にまで拡張した。
そして2007年のローリングでは、「ロボットの知能化と環境の構造化」、特にロボットの知能化について重点的に取り扱っている。
ここでいうロボットの知能とは、仕事をするための知能、つまり「環境適応能力」のこと。
社会ニーズに合った機能をもつ知能ロボットを実現するためには、再利用可能な知能モジュールの必要性を強調している。
そして知能モジュールを今後、ハンドリング、ロコモーション、コミュニケーションなど、ロボットシステムとして整備して、「知能の汎用性」を目指すとしている。
(つづく)
(つづき)
「ロボット分野アカデミックマップ」は、ロボットに関係する学術分野3団体(日本ロボット学会、人工知能学会、日本人間工学会)が、人間系融合領域、情報系複合領域、工学系先端領域について記述している。
日本にどれだけの数の学会があるのかは知らないが、ひとつの学会だけでは解決できない学際的な研究が叫ばれている今、学会横断による具体的な異分野間の融合の試みとして、今回の「ロボット分野アカデミックマップ」は注目される。
ただし、人間系、情報系、工学系それぞれが自由なとりまとめをしたことから、3者間に統一性がなく、読んでいても内容がばらばらの印象を受ける。
ロボットの場合、技術革新の研究開発にどうしてもお金がかかるため、国の科学研究費やプロジェクト予算に引っ張られ、ともすれば「国の下請け」に甘んじる傾向があるが、
ロボット分野に文系アカデミアが入ることで、「人間がより幸せになるためのロボット」や、「人間や社会にとって本当に必要なロボット」など、ロボットをより大きな視点で、より深く考えるようになっていけばいいと思う。
(つづく)
昨年、経済産業省の地下ホールで行われた「ロボット分野アカデミックマップおよびロボット技術戦略マップ2007 報告会」。
2004年に作成された「ロボット技術戦略マップ」は昨年ローリング(見直し)がおこなわれ、今回が2度目。
また「ロボット分野アカデミックマップ」は、
ロボットに関係する学術分野3団体、日本ロボット学会、人工知能学会、日本人間工学会が協働で、ロボット分野の将来に向けた技術ロードマップをはじめて作成したというもの。
「ロボット技術戦略マップ」と「ロボット分野アカデミックマップ」との関係は、
前者が2025年までのロボットの具体的な技術の道筋を示しているに対し、後者は2050年から俯瞰したロボット技術の基礎研究を含む幅広い領域について記述している。
今回は両者による「ロボット技術の中長期的なビジョンマッチング」という位置づけだが、主催者が認めているように、
「ロボット技術戦略マップ」と「ロボット分野アカデミックマップ」との整合性はほとんどなく、今後、共にローリングをすることで整合性を高めていきたいという。
(つづく)
昨年、NHKBSで放送された「証言記録 マニラ市街戦」。
レイテ島沖海戦で主力戦艦を失った日本海軍は、陸軍の意向とは反対にルソン島に上陸した米軍を首都マニラで迎え撃つことになり、マニラ市民100万人を人質にする形となった。
銃撃や狙撃、夜間の斬りこみで反撃する日本軍に対し、米軍は激しい無差別砲撃を行い、また米軍の支援を受けたフィリピン人抗日ゲリラ、日本軍により組織されたフィリピン人密告者が複雑に絡み合い、双方が人を見れば敵と思う極限状況の中でフィリピン人への殺戮が重ねられていく。
1ヶ月に及ぶ攻防戦により、日本軍16,555人、米軍1,010人、マニラ市民10万人が戦死。
番組は、何故このような悲惨な状況になっていったのかを、日米の元兵士、フィリピン人生存者の証言によって明らかにしていく。
市街戦は民間人の中に工作員や武装勢力が紛れこむため、誰が敵なのか、敵がどこにいるのか、その判別が難しく、勢い疑心暗鬼となってヤラレル前にヤッテしまえという異常な精神状態になりやすく、レバノンやモスタル(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)でも、また現在のイラクでも多くの民間人が市街戦の犠牲になっている。
イラクで米軍が軽機関銃を装備したロボット(SWORDS)3台を実戦配備したという報道があった。
まずは遠隔操作による偵察とパトロールに使われるようだが、一人の米兵も無駄死にさせたくない米軍は、今後ロボットの実戦配備を増やしていくと思われる。
正規軍、武装勢力、ロボットによる市街戦で民間人が殺戮されたというニュースが届く日も近いかもしれない。
昨年、薬事法の販売承認を受けていない「手術支援ロボット」を使って保険の診療報酬を不正に請求したとして、厚生労働省は大阪や名古屋の6つ病院などに対し、過去の請求分の返還に向けた調査を行った。
この「手術支援ロボット」とは、内視鏡や鉗子などをロボットアームで遠隔操作して腹部や胸部の手術を行う「ゼウス」と「ダビンチ」、コンピューター制御のカッターで人工関節用の穴を骨盤などに開ける「ロボドック」の3種。
国が承認していないロボット機器を勝手に手術に使い、しかもそれを患者の保険診療報酬として請求したのはけしからんということなのだが、
米国製のダビンチ(da Vinci)は1997年に開発され、すでに世界で10,000を超える手術症例があり、世界で約600台が販売されている。
しかし、日本では、販売が承認されていないため、東京医科大学など4つの病院に数台が納入されているに過ぎない。
いわば、まだ「個人輸入」している状態だ。
これは高度医療の治療機会の喪失と格差を生じさせるだけでなく、世界との医療格差につながる恐れがある。
実際、最先端医療を安価な金額で受けられるインドの病院では、手術希望の欧米の患者が増加している。
術中MRI手術システムなど高度先端医療を手がける東京女子医科大学先端生命医科学研究所の村垣善浩氏は、
「日本がこの分野で遅れをとることのないよう医療機器の開発と一層の医師の技術水準の向上、そしてなによりロボット手術に対する国、国民の意識の改革が必要だろう」と述べている。
参考 : 読売新聞(2007年7月5日、27日)