JAXAは三菱重工業製ロケット、超高速インターネット衛星「きずな」の打ち上げに成功した。
昨年、横浜でセミナーに参加した際、三菱みなとみらい技術館に立ち寄った。
入り口ではWAKAMARUが出迎え、館内は交通、海洋、宇宙、環境、エネルギー、技術探検について、実機・模型、パネルなどで分かりやすく紹介されている。
改めて日本の大型科学技術プロジェクトの多くに三菱重工が関わっているということがわかる。
モニターや展示物に「調整中」の張り紙が目立つことと、コンパニオンのおねえさんが、あまり愛想がないのが気にはなったが、日本科学未来館よりコンパクトな分、日本の科学技術を端的に理解できる。
館内の3Dシアター上映されていた『進め!ナノテク医療隊:Dr.ミライ&ロボ!』はお薦め。
物語は未来の病院を舞台に、研修医ミライがチームメイトの医療ロボット・ハマーと力を合わせて、実習用ロボットのがん治療に奮闘するというストーリー。
10分ほどの作品だが、エンターテイメント作品として、非常によく出来いる。
作品に登場する放射線治療は、ホウ素中性子補捉療法※というもので、三菱重工は高い精度でがん患部に放射線を照射できる装置の開発にも取り組んでいる。
やがて、月周回衛星「かぐや」や、新しいジェット旅客機「MRJ」も紹介される日がくるだろう。
※ホウ素中性子補捉療法は、あらかじめホウ素化合物を患者に投与しておき、がん細胞に取り込まれたホウ素と外部から照射された熱中性子線とで起こる核反応により生じる粒子線により、がん細胞のみを選択的に退治する治療法。
現在は研究用原子炉からしかこの熱中性子線を得ることができないため、加速器による熱中性子線照射が研究されており、将来的には病院での治療が期待されている。
(三菱重工ニュースリリースより)
定年後の長い時間を過ごすのに、農作業や野菜作り(ガーデニング含む)は、趣味と実益を兼ねた良い選択肢のひとつだが、農業と同じような作業として、家の修繕(Do it yourself)がある。
自動掃除機の「ルンバ」で有名なアイロボット社から、雨どいの落ち葉を落とすロボット「Looj」がアメリカで発売されている。
価格は$99.99〜169.99 (約12,000円〜20,000円)。
Loojを雨どいに置き、取っ手のリモートコントロールを操作すると、もぐらのように雨どいを進み、溜まった落ち葉などを振るい落とす。もちろんバックも可能。
映像で見るとかなりの勢いで落ち葉をふっ飛ばしている。
腰のショルダーケースで持ち歩け、本体の汚れもじゃぶじゃぶ水洗いできる。
Do it yourself好きなアメリカ人向けロボットという感じだが、実用性はありそうだ。
春と秋、ホームセンターは多くの人でにぎわう。
単機能なだけに価格設定にもよるが、日本でもLoojが活躍する日が来るかもしれない。
(つづき)
技術、学会(アカデミア)の戦略が練られた後は「出口」、ビジネス成功のための戦略が必要になる。
一昨年立ち上がったロボットビジネス推進協議会の活動を支援することも念頭に、経済産業省は「産業ロードマップ」の作成を始めるようだ。
ビジネスの場合はなにより、具体的に「売れる」ことが肝心。
民生用ロボット分野での成功事例がほとんどない現状で、どのような産業ロードマップを作成していくのか。
ユーザと共に商品開発をするメーカーも多くなってきたが、本当にRTを必要としている分野がいったいどれくらいあるのか。
まだまだ高額な民生用ロボットを導入したユーザは本当に満足しているのか。
知能化、標準化、安全性などロボットを取り巻く多くの難題を超えて、「売れる」ロボットの事例をひとつでも積み重ねることが当面必要だろう。
(つづき)
将来の市場規模予測は、「当たらない」のが通常で、今後も修正が加えられていくと思うし、民生用ロボットを取り巻く厳しい現状を考えれば、これまでの予測があまりにも現実離れしていたとも言える。
また、ロボット単体としてではなく、ロボット技術を活用した知能システムとしてのRTを広くロボットとして捉えることにも異議はない。
しかし、RT関連や産業用ロボット、社会経済的損失低減の大半が自動車関連のことであり、一般の人が思い浮かべる次世代ロボットが占める割合は1割程度でしかない。
次世代ロボットが厳しい現状にあるとはいえ、これではあまりにも自動車業界頼みの情けない予測だ。
これだけをみれば、次世代ロボットに未来はない、と云っているようなもの。
ロボット関係者はこの数値について、怒りを感じないのだろうか。
また自動車がロボット市場を牽引していくことを明確にしていながら、技術戦略マップの委員に自動車関連の担当者が極端に少ないのはいったい何故なのだろう。
RTの概念を日本の産業界に広く行き渡らせるためにも、自動車や家電、建設などもっと多くの関係者を巻き込んでいく努力が必要だろう。
(つづく)
(つづき)
今回の成果報告会では、ロボットの市場予測についても発表があった。
これまでのロボット市場予測は、2001年5月の「21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書」をベースにしてきた。
そのときの2025年のロボット全体の市場規模は約8兆円。
その後、「新産業創造戦略」(2004年5月)で、約6.2兆円に修正され、これがロボットに関する公式な市場予測数値となっていた。
今回は、RT(Robot Technology)製品を含めた市場規模予測を行っている。
RT製品とは、「機械システム製品のうち、その製品の主たる役割を果たすために必要な行為の全部又は一部を、センサー、知能・制御系、駆動系の3つの技術要素を組み合わせたRTを活用して動作するもの」と定義され、例として、
自動車のASVやエアコンの自動気流制御機能などを上げている。
そして2025年におけるRT製品(自動車、家電・住宅、建設機器など)の市場規模を1.24兆円と予測。
このRT製品を含め、次世代ロボット、生産に関連するRTシステム(ライン構築、システム設計など)、産業ロボット全体で、約5.4兆円と試算している。
さらに、交通事故による社会経済的損失額(2004年度)、約6.7兆円がASVの普及で4割程度減少すると見込んで、社会経済的損失低減効果、約2.1兆円を足して、
2025年のロボット・RT関連産業の市場規模を、約7.5兆円になると推定している。
(つづく)