2011年上半期のロボット・トピックスを挙げてみた。
◎ひとつも、ない
2005年11月にロボカーサ・ドットコムをスタートして以来はじめて、紹介するに値する「NEWな商品」が、なかった。
3月の大震災の影響もあり、発売を延期した製品もあるのかもしれないが、要因として考えられることは、
?安全規格発効前
特に大手企業に言えることだが、NEDOの生活支援ロボット実用化プロジェクト(2009-2013年)が進行中であること、また、来夏にも発効が予定されるサービスロボットの安全性に関する安全規格(ISO 13482)が協議中であること。ロボットの安全に関する大きなトピックを前にして、ロボットの発表や商品化を控えた。
?イベント前
9月の国際福祉機器展や11月の国際ロボット展等に出展するため、その前後での発表、発売を考えている。
◎消える
総合科学技術会議が6月に発表した「平成24年度科学技術重要施策アクションプラン」。
大震災からの復興・再生を優先施策としているのは良いとして、2つの柱、「ライフイノベーション」と「グリーンイノベーション」の中に、「ロボット」という文字が見当たらない。
「高齢者・障がい者の機能代償・自立支援技術開発」と「レギュラトリーサイエンスに基づく医薬品・医療機器等の新たな予見可能性の高い評価方法の開発」が、「ロボット」に関わる項目だと思うのだが。
◎使えなかった
大震災や原発事故で、日本のロボットは、使えなかった。一部の大学の広報宣伝ばかりが、目立っただけだった。
しかし、そんな中でも今後に期待できる出来事もあった。
自動車各社が協力して、ITS技術を活用した被災地での通行実績情報を提供(ITS Japan)、パロを持って被災地を回り、その後、パロ50体を被災地施設に2年間無償貸与(大和ハウス工業)、震災による海底変化や漁業復興の課題を探るため、水中ロボット使った海洋調査(東京大学生産技術研究所 海中工学国際研究センター)など。
◎はじまり
次世代テレマティクスの戦略的提携(トヨタ自動車、マイクロソフト)や、モビリティロボットの公道実験(つくば市など)が開始された。
また宇宙では、ロボノート2が宇宙ステーションに運ばれ(NASA)、HTV2号を搭載した「H2B」2号機の打ち上げ(JAXA)が成功した。
そして、NPO法人ロボティック普及促進センターが、活動を開始。
2011年6月のロボティック・ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カーサ>
・パロ50体を被災地施設に2年間無償貸与(大和ハウス工業)
<ロボティック・カー>
・インフラ協調型安全運転支援システム「DSSS」対応のカーナビゲーションを開発(トヨタ自動車)
・後付け型の衝突防止システムを社有車に搭載(住友三井オートサービス)
<ロボティック・システム>
・機体破損後の航空機の自動飛行実験に成功(富士重工業と東京大学)
<ロボティック・ミッション>
・モビリティロボットの公道実験を開始(つくば市など)
(つづき)
今年の1月、仲間たちと共に、ロボット関連技術やロボットビジネスの普及促進活動を行う、「NPO法人ロボティック普及促進センター」(RIC : Robotic Increase Center)を設立した。
新しいロボットを開発することは、よし。しかし、すでに世の中にあるヒト、モノを活かして、それを公共で実現し、皆が幸せを共有できることのほうがもっと大切。
RICの活動コンセプトとして、「ロボット・MOTTAINAI・プロジェクト」なるものを考ている。
まだ使えるのにMOTTAINAI (例えば、ロボットテクノロジーを使ったインフラ点検)
せっかく作ったのにMOTTAINAI(例えば、既に開発されたロボットの普及)
勉強したのにMOTTAINAI(例えば、ロボット関連企業への就業のお手伝い) など
ロボットテクノロジーを用いることで、モノを大切にし、ヒトを活かすことで、幸せを実感できる。
また、行政と協働することで、ノウハウが蓄積され、共有することで、誰もが納得できる。
そんな自主事業もやっていきたいと考えている。
2011年の1月、仲間たちと共に、ロボット関連技術やロボットビジネスの普及促進活動を行う、「NPO法人ロボティック普及促進センター」(RIC : Robotic Increase Center)を設立した。
震災を挟んで4月に、神奈川県から正式に認可を受け、6月から「かわさき・神奈川ロボットビジネス協議会」の事務局を請け負うことになった。
今後は、ロボットビジネスに関する相談、研究開発、安全性などの事業を、時には行政と協働で、時には補助を受けながら、そして自主事業もいくつか行っていきたいと考えている。
そこで、キーとなるのが、
・個のチカラ
・パブリック
・コミュニティ
社団でも、財団でもなく、一人ひとりの顔の見える地域NPOであるということ。
気宇壮大な、天下国家を語るつもりは、ない。
個人を中心に、その夢や想いを、パブリック(公共)で実現し、コミュニティ(地域)に拡げる。
これから、新たな物語を紡いでいきたい。
(つづく)
大和ハウス工業が東日本大震災の被災地にある高齢者向け施設に「パロ」(パロの項参照)を2年間無償貸与することになった。
被災地の避難所に「パロ」を持参したら、とても喜んでもらえたということは、大和ハウス工業の担当の方からは聞いてた。
「パロ」は一体35万円。それを50体・2年間無償で貸し出す。
大和ハウス工業は被災地の仮設住宅の建設を請け負っており、また、グループ企業には病院や介護施設のコンサルを行うシルバーエイジ研究所や有料老人ホームを運営する寿恵会などもある。「パロ」の無償貸与を通じて、行政や地域コミュニティとのより一層の結びつきを考えての事もあると思う。
「パロ」と触れ合うことで深い心の傷や哀しみを負った人が少しでも癒され、一時でも不安を忘れることができるなら、それはとてもうれしいこと。
被災された高齢者全員に国から「パロ」の無償提供があってもいいくらいだ。
これを機に、具体的に何に役立つのかはわからないけれど、そばに居ることで、気持ちを明るくするコミュニケーションロボットの活用がもっと増えればと思う。