家庭におけるロボットの本格普及は2025年前後といわれている。
では、ロボットのユーザー企業でもある住宅メーカーは、ロボットや次世代生活支援技術をどのように住宅に取り入れ、普及を進めようとしているのか。
そして住宅市場で期待されるサービスロボットとは一体どのようなものなのか。
主要住宅メーカーや住宅関連企業(住宅設備、家電等)など20社・団体に取材し、住宅における今後の市場動向、普及状況、有望分野などを聞いた。
その中で印象に残った担当者の言葉を紹介する。
・今後ますます、家電のネットワーク対応が進むと思われる。そして、家電ネットワークのさらに先には、宅内で使用するロボットの可能性がある。
宅内でロボットが自律移動するためには、宅内の地図情報や床にロボットのための道標(RFIDなど)が必要となるが、技術的に可能だからといって何もかも取り入れたのでは膨大なシステムとなり、かえってお客様の導入を阻害してしまう。そのため、機能を最小限に絞り込むことが、次世代生活支援機器の普及には不可欠と考えている。 (住宅メーカーA社)
・個人住宅は電動化が遅れているが、なぜそうなのか。「便利」と「安心」をてんびんにかけた場合、「安心」を取るお客様が多いように思われる。鍵が自動で閉まるという利便性よりも、自分で鍵を閉める安心感を重視しているのではないか。住宅は家の中に資産があるため、安心のほうが重視される。 (住宅設備メーカーB社)
・3年おきにひとつの商品をリスクを張って出していくというだけでは、なかなかロボットは広まっていかない。家の中にロボットをいれなくても、家の中がロボット技術によって自動化して便利になっていけば、それがロボットなのだということがきっと広まっていくだろう。
これまで、単体のロボットは見掛けとか、もの珍しさとか、動きのおもしろさで売ってきた面があり、それを企業やメディアもイメージ戦略として宣伝に利用してきた。今後は家電や住宅設備にロボット技術が入ることで、それが便利で快適なものだということが一般の人に自然にわかるようになることが重要だと思う。 (ロボットメーカーC社)
(つづく)
2005年2月に「TOKYO-BAY ららぽーと」にオープンしたパンのフードテーマパーク「東京パン屋ストリート」。
全体の装飾コンセプトは、北欧の田舎町。
非日常的な環境演出と、人気パン店の食べ比べができることや、ここでしか食べられない季節のオリジナル新作パンを目当てに、オープンから3年以上たった今も、相変わらず休日は混雑している。
遊園地やテーマパークが長く存続するポイントは、魅力的な世界観の構築とリピーター客の確保にあるが、重要な部分をなすのが、お土産品と「たべもの」の存在。
特に、そこでしか買えない、食べられない「もの」があるかないかは、その施設の魅力に少なからず影響する。
先月、「イーアスつくば」にオープンした「サイバーダインスタジオ」。
サイバーダインの研究成果をわかりやすいカタチで展開し、来場者の生の声を開発現場にフィードバックする役目も兼ね備えた施設だが、ロボットスーツ「HAL」というオリジナルなモノの展示はあるものの、残念ながら、そこにオリジナルな土産「物」、食べ「もの」の提供は、今のところ、ないようだ。
ロボカーサ・ドットコム内で取り上げるほどではないけど、ちょっとだけ気になる付加価値商品を紹介する。
洗エールレンジフード (クリナップ)
レンジフード洗いは、面倒な掃除の代名詞。
この「洗エールレンジフード」は、給水タンクにぬるま湯を入れ、ボタンを押すだけで自動的にレンジを洗浄するというもの。洗剤を使わず、洗浄時間は約10分。月1回の洗浄で約10年間、フィルターを取り外さずに掃除ができるという。
「クリンレディパッケージ」での取り扱いのみ。パッケージ価格 698,000円
Siセンサーコンロ「クラスSプレミア」 (大阪ガス)
24種類の自動調理ができる「グリルオートメニュー機能」を搭載したSiセンサーコンロ。
この「グリルオートメニュー機能」は、魚焼き3種類に加え、スペアリブ、朝食用のモーニングセット、やきいも、スイートポテトなどの18種類のアラカルトメニューと、揚げものなどを再加熱する3種類のメニューの24種類。価格は283,500円。
別売(9,135円)のフード連動用リモコンを取り付けると、ガスコンロの点火・消火時にレンジフードのファンが自動的に運転・停止を行うので、つけ忘れや消し忘れの心配がない。
トロイア遺跡の発掘で知られるハインリッヒ・シュリーマンは、その発掘に先立つ6年前に世界周遊の旅に出て、清国と幕末の日本を訪れている。※
旺盛な好奇心と客観的かつ偏見のないまなざしで見つめたその旅行記からは、幕末日本の生き生きとした雰囲気が伝わってくる。
その中で日本の家屋についての記述。
「日本に来て私は、ヨーロッパで必要不可欠だとみなされていたものの大部分は、もともとあったものではなく、文明が作り出したものであることに気がついた。寝室を満たしている豪華な家具調度など、ちっとも必要ではないし、それらを便利だと思うのはただ慣れ親しんでいるからにすぎないこと、それぬきでもじゅうぶんやっていけるのだとわかったのである」
イス、テーブル、ソファ、家具、電化製品 ・・・
現代の家屋は暮らしの必需品と思われるモノで埋まっている。
現代の暮らしを幕末の暮らしのように戻すことは難しいが、住宅をロボット化することで、幕末の暮らしのような「シンプルな生活スタイルへの転換」は可能な気がする。
イメージとしては、
必要と思ったときに必要なモノが出、また収納される部屋。
足し算ではなく、引き算の部屋。
住宅のロボット化により、「省エネかつ快適でシンプルな暮らし」への転換が可能となるなら、DINKSや子育てを終えた夫婦など都市型の生活スタイルを希望する人たちに受け入れられる余地は充分あるように思うが、どうだろう。
※「シュリーマン旅行記 清国・日本」(講談社学術文庫)
ROBO_JAPAN 2008で講演したiRobot社会長のヘレン・グレイナー氏。
家庭用掃除ロボットの「ルンバ」と、爆弾処理ロボット「パックボット」のヒットにより、2005年にナスダックにも上場したiRobot社だが、おもしろいのは初めから掃除と軍事に的をしぼってロボットを研究開発してきたわけではないということ。
1990年の会社設立以来、エンターテイメントから産業用まで、それこそさまざまなロボットを開発した中で、「掃除と軍事が残った」というのだ。
それだけにロボットビジネスに関して、グレイナー氏の考えは明確だ。
それは3つのD、すなわちDULL、DARTY、DANGEROUS。
そして、ロボットビジネスで成功するための条件として、以下の3つを挙げた。
・あきらめない持続性
・柔軟性
・顧客に耳を傾ける
iRobot社は今年、水中のロボットを開発してきた企業を買収。今後、港湾の安全、海洋気象、資源探査などの水中の分野に取り組んでいくようだ。