(つづき)
5月に行われた日本初の「宇宙エレベーター」の公開実験。
実験は、高さ200mのヘリウムバルーンから垂れ下がった「テザー※」(ポリエステルベルト)を「クライマー※」(昇降機)が上昇するというもので、上昇目標地点は地上150m。
しかし、強風で「テザー」が激しく揺れた影響もあり、地上40m程の短記録に留まった。
アメリカでは、電磁波(可視光/赤外線レーザー/マイクロ波)を用いた外部エネルギーの供給に重点が置かれているようだが、これは半径100mくらいの大規模レーザー照射になるため、日本では「クライマー」の技術開発を進めることにしたとのこと。
地上150mであれば無線が届く範囲だが、それ以上の高度では自律して上昇できる昇降機が必要になる。
それはまさに「ロボット」。
宇宙エレベーターを実現するには、昇降機の製作、システム制御技術、気象観測など、幅広い分野の統合が必要だ。
ロボットを作り、ただただ戦わせるのではなく、地上と宇宙をエレベーターでつなぐという、非常にわかりやすいミッションを通して、ひとりでも多くの若者が宇宙へと飛び立ってほしいと思う。
2009年8月には、国内発の「宇宙エレベーター技術競技大会」も予定されている。
※テザー 遠心力と重力の釣り合いにより静止軌道と地球を結ぶベルト状のワイヤー。
※クライマー テザーを自力で上下する昇降機で、モーターと摩擦車を使った機構などが提案されている。
5月はじめ、日本初の「宇宙エレベーター」の公開実験が行われた。
「宇宙エレベーター」とは、地上と宇宙をエレベーターでつなぐ輸送機関のことで、「軌道エレベーター」ともいう。
アーサー・C・クラークのSF小説「楽園の泉」で広く知られるようになり、ロケットに変わる宇宙への輸送機として、実現が期待されている。
しかし、充分な強度をもつケーブル素材がないため、長らく夢物語とされてきた。
ところが1991年にNEC基礎研究所がカーボンナノチューブを発見すると、アメリカ航空宇宙局(NASA)も本格的な研究を開始し、宇宙エレベーター実現の可能性がにわかに現実味を帯びてきた。
宇宙ステーションに執心している日本(JAXA)では、いまのところまったく相手にされていないようだが、将来、実用化の芽が出てきたときには、大化けする可能性がある。
その理由として、
・カーボンナノチューブ
・ロボット技術
・リニアモーター
・システム制御
・精密機械
など、日本独自の技術が活かされること。
そしてなにより、大規模建造物としての土木・建設工事になること。
宇宙へのインフラ整備という21世紀前半の国家基幹事業になる日もくるかもしれない。
(つづき)
2009年4月のロボティック ライフスタイルニュースをまとめて。。。
<ロボティック・カーサ>
・Nabaztagの日本語サービスと店頭販売を開始 (ビジネスデザイン研究所)
・三菱電機 省エネ効果を画面で確認できる液晶テレビ「REAL」シリーズを発売 (三菱電機)
・コンパクトな電動ハイブリッド自転車「PAS CITY−X リチウム」など3機種を発売 (ヤマハ発動機)
・太陽光発電搭載・電気自動車対応住宅を発売 (トステム住宅研究所)
<ロボティック・カー>
・豊田市で「安全運転支援システム(DSSS)」の公道試乗会を実施 (トヨタ)
<ロボティック システム>
・人の手や指の動きやジェスチャーを認識し機器を操作させるソフトを開発 (日本システムウエア)
・文章から気持ちを推定し音声合成や文字装飾できる技術を開発 (NEC)
<ロボティック ミッション>
・水産土木建設技術センター長崎支所にハイビジョンカメラ搭載小型水中ロボットを納入 (三井造船)
<ロボティクス>
・秋葉原にロボット直営店をオープン (ヴイストン)
ロボカーサ・ドットコム内で取り上げるほどではないけど、ちょっとだけ気になる付加価値商品をご紹介します。
○Mio C523V2 (マイタックジャパン)
4.3型のワンセグ付き多機能GPSナビ。
自動車モードのほか、交差点での進行先を一目で分かりやすく表示する「ライダーモード」、歩道もカバーした「歩行者モード」の3つの移動モードを搭載。
旅行の移動中に「今どこを通過しているのか」をその場で確認することも可能。また旅先で撮影したデジタルカメラの画像を見ることもできる。
価格:44,800円
○レクサスRX リモートタッチコントローラ (トヨタ自動車)
ナビゲーションやオーディオ、エアコンなどを手元の操作ノブで行えるタッチコントローラ。
操作ノブは、表示ディスプレイ上のポインタと連動しており、パソコンのマウスと同じ感覚でポインタを上下左右に動かすことで各機能の設定や選択を行うことができる。
?デンソー製。
幸福度88位、自殺者年間3万人。国民総悲観国家になってしまった日本に希望ある未来の可能性はあるのかをテーマにしたシンポジウムが開催されました。
特別講演をした前東京大学総長で、三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏は、20世紀とは異なる21世紀のパラダイム(ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み)として、
・知識の爆発
・有限の地球
・高齢化する社会
・人工物の飽和
を挙げ、100年に一度といわれる今回の金融危機も、先進国の高齢化による需要の減退が大きな原因のひとつと独自の見解を述べている。
小宮山氏は以前より環境・エネルギー問題と超高齢化の進展という日本のマイナス要素を社会システム変革のチャンスに変えていくという「世界の課題解決先進国・日本」の役割の重要さを説いてきた。
今世紀半ばには先進国はもちろん中国やインドなどでも人工物の飽和状態、つまり車や土木建築物をはじめとするあらゆるモノが身の回りにあふれ、同時に進展する世界的な超高齢化により、需要の減退が起こると予想している。
そんな未来社会では、工業型製品(ニーズ型)にかわり、知識型製品、つまり商品のコンセプトやデザイン、専門知識、ブランドなど、快適さや癒し、心地よさ、感動、達成感などの人間の欲求を満たすウォンツ型が主流になるといわれている。
シンポジウムでは、今後あらゆる産業が知識型になることを踏まえ、製造業が向かう先として、
・不可能を可能とするような革新的先端技術製品
・高級ブランド
・機能ではなく情緒面の欲求に応える感性商品
・自分にとって特別な商品
・機能回復型商品
を挙げ、特に繊細な感性と先端技術が融合するハイテク感性商品は日本のもっとも強みとなるとしている。
なんだ、それはロボットテクノロジーのことじゃないか。
実際、2050年におけるもっとも大きなインパクトとなる科学技術は、ロボット技術と生命科学になるとしている。