3Dやバーチャルリアリティなどのデジタルコンテンツの研究成果を展示・体験できる「DIGITAL CONTENT EXPO 2009」。
手作り感覚の学生作品から企業の最先端製品まで、種々雑多な展示品の中で、学生と大学研究室のナイスな作品をいくつか ・・・
・テレヤッホーシステム 伝声管山彦通信 (東京大学 廣瀬・谷川研究室)
ランプシェードのような伝声管に大声で呼びかけるとジャングルに繋がっているもうひとつの伝声管が森のやまびこをとらえ、自分の声が返ってくる。
実際、西表島に伝声管を設置し、会場に流れる鳥のさえずりや水のせせらぎは、Live 。
"ヤッホー!!!"という「やまびこ」をただひたすら待つだけというその”ばかばかしさ加減”が、スゴイ。
・「Mommy Tummy」(金沢工大学園 感じるケバブ)
胎児に見立てた水袋をお腹に装着することで妊娠を疑似体験できるシステム。
これまでも妊娠体験用ボディスーツを着用して、妊婦の状態を再現するものはあったが、これはエアアクチュエータやセンサー、バイブレータなどで胎児の鼓動や胎児の「蹴り」の感覚まで再現。
妊婦姿の記念写真付き疑似母子手帳も気が利いている。
・「Air Hair」(東京工業大学ロボット技術研究会 ピノール・ド・チャイ)
散髪の感覚をバーチャルリアリティで再現した作品。
マネキンの頭部にハサミを入れると実際に髪を切っているような感触。また、ヘッドホンを装着して、そこから音声と、頭の上部に取り付けられた器具から吹きつけられる「風」で髪が切られる感覚も得られる。
・「花よ、咲け」(岐阜大学 シロ)
仮想環境の枯れ木の画面にめがけて、粒状の玉を投げかけると枯れ木が満開になっていくという単純明快な作品。
画面の両側に取り付けられた2台のカメラにより、左右別々の木に花を咲かせることができる。
・「海へ」 (慶応大学 70cmの鯛)
水の中を歩いているような感覚になるバーチャルリアリティ。
長靴型のデバイスをはいて、RFID付きの川の絵柄を踏むと浅瀬からひざ下まで3段階の川の深さを疑似体験できるようになっている。
これまた単純明快な作品。
(つづき)
引き続き、日本の宇宙開発利用の現状と今後の動向についてまとめた、「宇宙関連ビジネスの波及効果と有望分野」の取材で印象に残った言葉を紹介する。
・企業としても人がいるとそれにお金が付くからということもあるが、本当に大勢の人が張り付く必要があるのか、その議論もあまりせずにこれまでやってきた。小さな衛星にすると安くなるが、それでは企業は儲からないし、手間が何十分の一になるわけではないので、それなら大きな衛星を一個取ったほうがいいと考えてきた。そのため、小さくしようという発想が出てこなかった。だから光学やレンズも大きいほうが一個あたりの値段が高いのでそのほうが儲かるというロジックできた。
・10cmのCubeSatのコンセプトを出したのはアメリカ人。しかし、世界で一番うまく作っているのは日本人だ。決められたサイズの中に技術を詰め込むことは日本人が世界一なので、そこで日本は勝負すべき。これは、毎日、具の種類や栄養を考えて、限られた箱にきっちり詰め込むお母さんのお弁当や幕の内弁当と同じで、箱庭や盆栽、ケータイ、ウォークマンなどに通じる日本の文化。
小型衛星は幕の内弁当であり、お母さんの手作り弁当。日本人のマインドに合っている。得意な分野で勝負すべきで、コンセプトで勝負しても負ける。新しいロケットや宇宙ステーション、惑星探査などはコンセプトメーキングに近い。何をやるか、どういうシステムでやるのかを考えていかなければならない。それは日本人は弱い。サイズが限られた中でどれだけ機能を盛り込むのかを考えたいのが日本人。そういうところで勝負すべきだし、そこなら勝てると思う。日本人の強みが生かされ、かつ、日本人の志向に合った小型衛星をやるべきだと思う。 (E大学研究室)
(つづき)
引き続き、日本の宇宙開発利用の現状と今後の動向についてまとめた、「宇宙関連ビジネスの波及効果と有望分野」の取材で印象に残った言葉を紹介する。
・運用の自律化・知能化や、設計支援などの支援システムの研究が必要。これらは、これまでみんな「人間」がやってきた。人間がやっている限り、コストがかかり、安くならない。宇宙ビジネスで何が高いかといえば、それは人件費である。
だから人間がどこで、どうサボれるかということが勝負。
ソフトがあれば最後の制作の段階でサボることができる。ひとつソフトがあればコピーを配ればよいだけ。そこで勝てる。衛星の場合はひとつできたから、2つ目をポッとできるかといえば、それはできない。同じ手間と時間がかかる。サボるところがない。サボるところがない商品は絶対にもうからない。(中略)
ではどうすればビジネスとして成り立つのか。
ひとつは信頼性という概念でサボるというやり方。これは試験をサボる。これとこれだけやっておけばいいだろうということで、サボる。
もうひとつは自律化・知能化することで、運用面でサボる。
そして無重力での実験を地上ではなく、軌道上の最初のフェーズで、地上で行う実験を行うこと。それには軌道上で何が起こってもどうとでも変えられるように自由度を大きくしておいて、軌道上でチューニングしていく。(中略)
予備とかも含めて、宇宙で変えられるような自由度をたくさん用意しておいて、宇宙でできる環境試験を全部宇宙でやってしまう衛星があってもいい。今は地上で試験をしすぎ。試験すればコストもかさむ。しかし、それには衛星のコンセプト自体を根本的に変えないと実現できない。
ビジネス化のために時間とコストをいかに下げるか、どこでサボるか、そこに根本的なアイデアがない限り、ビジネス化は難しいと思う。 (E大学研究室)
(つづく)
(つづき)
日本の宇宙開発利用の現状と今後の動向についてまとめた、「宇宙関連ビジネスの波及効果と有望分野」で取材した中で印象に残った言葉を紹介する。
・(準天頂衛星が打上がると)外回りで活動する人の時刻と場所が正確にわかるため、業務遂行証明サービスと呼べるビジネスが可能になる。
例えば、広域の屋外での作業を主体の作業員に機器をつけてもらうことで、作業の場所と時間の証明が可能となる。本人は時間・場所を申告する必要がなく、発注先も現場で作業を監視する必要もない。現在のGPSでも似たようなことは可能だが、ビル陰や木陰などでは電波が届かないので、マップにデータを落としたときに空白域がでたりする。大量のデータの場合に、これを手作業で修正するのは大変であり、正確な位置データが入手できると都合が良い。
その他、コンピュータの正確な時刻としての活用が考えられる。
例えば、金融取引などではms(ミリセコンド)以下の正確さが必要。1秒間に何十万件というトランザックションがあるときに、その時間順を厳密につける必要がある。つまり、売買のひとつひとつはどれが早く、どれが遅かったのかの順番付けをする必要がある。あるコンピュータから出た注文の正確な時間(μ秒)を知るためには、すべてのコンピュータの時間が合っている必要がある。そのためには室内に電波を引き込む必要はあるが、GPSチップをサーバーにいれることで、すべてのコンピュータの時刻が同期をとらなくても、衛星を介することで正確に同期する。これはアメリカでは宇宙PNT(Space-Based Positioning Navigation andTiming) 政策の一つとして推進されようとしている。日本ではポジションとナビはアプリケーションと考えているが、今後、衛星からの正確な時刻をどう使うかということを検討する必要があると考えている。(C団体機関)
・小型化した衛星に投資し、他国では提供できない付加価値のあるものを開発する。日本の実力が高い先端的な民生技術を活用して、衛星以外にも、例えば、ハイパースペクトルセンサーのような高性能センサーの開発を支援していく。
国際競争に勝つためには提供する製品・サービスを高性能化すると共に、低コスト化していく。また、研究開発しているだけだと納期がないので、いかに短納期化して、売り上げを確実化していくか。納期を守らなければならない政府の衛星は、情報収集衛星と気象衛星。企業の衛星(例えば、スカパーの衛星)も打ち上げられなければ、サービスが中断してしまうわけなので、当然短納期、かつ納期を守るということは実用衛星であれば絶対に必要な条件である。(D省庁)
(つづく)
日本の宇宙補給機「HTV」が国際宇宙ステーションに無事ドッキングしたのは記憶に新しい。今、日本の宇宙開発利用は、これまでの研究・技術中心から、利用ニーズを重視した政策へと大きく変わろうとしている。
そんな日本の宇宙開発利用の現状と今後の動向について、「宇宙関連ビジネスの波及効果と有望分野」としてまとめたのだが、その中で印象に残った言葉を紹介する。
・未来は、明るいと思う。それはこれまでの宇宙の成功体験(たくさんお金をかけて、大きなものを作る)に毒されていない若者たちが、新しい市場を作ろうとしているから。宇宙のモノづくりは白黒がはっきりつくので、厳しい世界。
限界に挑戦していくのが本当の宇宙開発であるが、それは絶対に成功しなければならないというプレッシャーの中では難しい。チャレンジが許されるのは、失敗しても再打ち上げが可能な場合で、それには値段が安く開発期間の短い超小型衛星が向いている。
小さくても、ちゃんとお金が回る市場が作れればいいと思う。そこには大きな市場の人たちは入ってこない。メンタリティとして、一生懸命作ったモノを正当な値段で、本当にほしい人に買ってもらうことはとても健全なこと。買ってもらって、満足してもらったらすごくうれしいし、失敗したら自分の責任だと思う。そういう健全なサイクルを作りたいし、超小型衛星の市場はそれができると思う。
衛星を買う人も作る人もお互いがハッピーになれる宇宙開発をし、そういう顧客志向のメンタリティを持つ宇宙エンジニアが増えていけば、よりいいと思う。 (ベンチャー企業A)
・今後の宇宙開発はロボットそのものがミッションになることはない。人間とロボットがうまく協調しながら、それぞれが得意なところを行い、不得意なところは補い合うという関係になる。
ロボットはなんらかのミッションを達成するためのツールである。
現在の宇宙ステーションは宇宙飛行士が操作するように設計されているおり、ロボットが操作するようには設計されていない。現状では今どこにあるロボットを持っていっても使えない。
宇宙ステーションに常駐できる宇宙飛行士の人数は限られていること、及び宇宙飛行士が生活している空間は狭いので、人とロボットとの協調は待ったなしの世界。宇宙のような技術ニーズが強いところでブレークスルーを行い、それを民生に発展させたほうが技術開発としてはうまくいくのではないか。宇宙ではどうしても必要という強い動機づけがある。 (研究機関B)
(つづく)