人々のライフスタイルが多様化している現在、顧客の課題やニーズを捉え、顧客ひとりひとりに最適なソリューションを提供するCRMは、多くの業種で取り入れられている。
CRMは、単なるコンピュータシステムのことではなく、顧客中心のマーケティングのことであり、システムなどを活用した売れる仕組みつくりのことを指す。
現在ほとんどの業種で市場は成熟しており、ポイントプログラムやコールセンターを使って、企業は顧客の満足度を向上させ、優良顧客となってもらえるようさまざまなサービスを行っている。
一般に高額商品のほうが利益が大きく、またメンテナンスなどを通じて顧客との接点を増やすことができるため、新規商品や周辺商品を提案する機会も得やすく、顧客のLife Time Value(顧客の生涯価値を最大化)を向上させることができる。
そのため住宅や車、家電など高額商品を扱う企業は、販売後も利益をあげようとリフォームやメンテナンス、カスタマイズ提案に力を入れている。
ロボットは、少子高齢化による労働力不足という時代背景や介護ロボット、家事ロボットに代表される「役立つロボット」への強いニーズもあり、また人とのインターフェースに優れていることから商品自体への愛着が沸きやすく、カスタマイズ化などによるLife Time Valueも見込める。
だから本来ロボットは、顧客との良好な関係を維持していくCRMがもっとも効果を発揮する商品になるはずなのだ。
ところが現在は、技術的なシーズと顧客のニーズが合致しないため、ロボットの市場がなかなか立ち上がらず、個々のロボット企業が奮闘努力しているというのが、現状。
顧客の苦情や意見も大切なマーケティング資源なので、失敗を重ねて顧客の声を聞くことは大変重要なのだが、ロボットの場合、個々のニーズに技術が伴わなければならないだけに、顧客の声をすぐ商品に反映できないところが大きな悩みどころだ。