以前、ポンペイの遺跡を巡ったとき、現代とほとんど変わらぬその暮らしぶりに、もしかしたら今よりずっと豊かかも、と思った。
科学テクノロジーの違いを除いて・・・
昨年、1960年に科学技術庁が予測した50年後の未来像について、未来工学研究所が判定を行った。
予測された135項目のうち、実現したのは携帯電話や電子レンジなど全体の4割・54項目だった。
未来技術を予測することの難しさから言えば、4割というのは上出来だと思うが、気になったのが原子力関係の予測。
7項目のうち実現は0、一部実現4という結果だった。
それでも、文部科学省と資源エネルギー庁は、今年の予算は高速増殖炉の実証炉研究費に140億円余り。
高速増殖炉は核燃料の利用効率が極めて高く、将来のエネルギーの切り札として期待されているわけだが、1995年に原型炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が起きて以来、運転が停止され、現在改造工事を行っているところだ。
エネルギー資源の世界争奪競争が激しさを増す中、石油や天然ガスなど他国に依存しない自前のエネルギーを確保することは、日本の悲願であり、
国は、2050年の高速増殖炉実用化を目指している。
ただし、原子力関係にはこれまでも極限作業ロボットを含め兆を超える巨額の税金がつぎ込まれてきた。
新潟中越沖地震での東京電力柏崎刈羽原発のお粗末な対応など、原子力政策への国民の強い反発と不信もある。
50年後も、やっぱり「実現0」では済まされない。
なんとしても負の遺産を克服して、実現にこぎつけてほしいと思う。
参考 :読売新聞(2006年8月17 日)