ネットワークロボットフォーラム(NRF)の土井標準分科会長の報告(※1)によると、位置情報(OMG、ISO)、空間情報(OGC)、ネットワークロボットプラットフォーム(ITU-T)、対話サービス(OMG)などのロボットに関わる標準化団体で、韓国や中国が発言権を強めており、日本の存在感が薄くなりつつあるという。
これまで日本もロボットの国際標準化策定には積極的に関わり、日本主導で標準内容を策定する意向で取り組んでいるが、震災の影響で国の優先順位が震災復興に向けられており、これまで標準化策定に深く関わってきた産業技術総合研究所や、大手民間企業の担当者が標準化の国際会議に欠席することが多くなっているようだ。
その反面、韓国は成果主義を導入して担当係官を増強し、自国優位に標準化を策定しようとしており、また、高齢者・障害者対応ロボットシステムや高度教育・エンターテインメントロボットの開発・普及を国家科学技術戦略に掲げる中国も標準化策定に積極的に関わり出してきている。
2012年の夏にもPersonal Care Robotの国際的な安全規格(※2)が制定される見通しで、ロボットの標準化は、今まさに正念場。
クルマ(モビリティ)のロボット化やスマートシティでのロボット技術の推進など、ロボットの標準化は、医療、福祉、生活、インフラなど広範囲にわたり、さまざまな省庁が横断的にからむだけに、『サービスという視点が欠かせない』(萩田技術部会長)のだが、震災対応に追われている間に「漁夫の利」とされることのないよう、国は、ロボットの標準化を必ず勝ちとるという「気構え」と「迫力ある」姿勢を具体的に見せてほしいと思う。
(※1) NRF標準分科会 2010年度報告(2011.5.13) ( )内は標準化団体の略称
(※2)ISO 13482 Robots and robotic devices – Safety requirements – Non-medical personal care robot