5世紀に西ローマ帝国が滅んだ後、その豊かな生活水準に戻るには18世紀の産業革命までかかったと言われている。ヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれたポンペイの遺跡を見ても、そこには現代の暮らしと変わらない(ある意味それ以上の)豊かな人々の暮らしぶりが伺え、現代人と古代ローマ人との差は、医療と科学技術の違いにしか過ぎないとさえ感じる。
「事業仕分けに科学技術はなじまない」、「科学技術創造立国に逆行する」など、事業仕分けによる科学技術予算の削減に対しては、さまざまな意見が出ているが、ことサービスロボットに関していえば、今もっとも重要なのは、安全性やミドルウェアなどについての国際規格、その標準化を勝ち取ることだ。
標準化作業の会議には日本ももちろん毎回参加しており、2006年にはアメリカ、韓国と共に標準化仕様案を策定している。今のところは日本が主導している状態ではあるようだが、日本から会議に参加しているメンバーが数人であるのに対して、アメリカや韓国はその数倍の人数を参加させており、特に韓国の積極さが目立つという。
モノづくりにはカネと力を入れる日本だが、肝心の標準化についてはこれまでも外国にもっていかれて手痛い思いをしてきた。
特許や技術でリードしている日本のサービスロボットが同じ轍を踏むわけにはいかない。
この数年が勝負。要素技術はもう十分開発してきた。
経済産業省をはじめ、国の機関も標準化の重要性は十分理解しているわけなのだから、ここはいち担当者だけが孤軍奮闘するのではなく、他国を圧倒する物量作戦に打って出るべきだ。
業界団体もこういうときこそもっと声をあげて、標準化の会議に「大人数」で押し掛けるくらいの予算を要求し、なんとしても標準化の主導権を勝ち取るんだという強い気構えと執着心を見せてほしい。