(つづき)
ロボットの誤動作、予期せぬ起動、安全関連部の不具合などの「技術的要因」で起こるリスクの低減を図ったとして、では「人的要因(ヒューマンエラー)」によるリスクはどう回避すれば良いのか。
ヒューマンエラーは、予測がつかないさまざまな要因により引き起こされており、あらかじめすべての危険を予測して、定量化し、排除することができない。
そこで、通常はまず技術的なリスク要因を排除し、その次にヒューマンエラーを取り除く方法をとる。
これは、次世代ロボットでも同じだが、もうひとつ、リスク低減を図る仕方として、多重でリスクを回避する「階層防御」という考え方。
「階層防御」とは、原子力発電所での事故発生のリスク回避として取り入れられている方法。
次世代ロボットで例えれば、なんらかの要因でロボットのアクチュエータが人を挟むリスクが想定される場合、挟まれた人に危険が及ばないよう、あらかじめアクチュエータを小型・軽量化しておくと共に、近接、接触などの各種センサーを使って、音や光で警告を発したり、接触センサーで緊急停止やモーターの電流を止めるなど、階層ごとに機能を独立させて、リスクを時系列で下げていくというもの。
ロボット側からのこうしたさまざまなリスク低減を行う一方、人間側も防護服を着用したり、安全教育や運動の徹底、負傷者の救命活動などの技術的なリスク要因を排除した上で、ヒューマンエラーを防止しようとする方法だ。
次世代ロボットの安全対策については、来年度、具体的な指針を取りまとめていく予定。※
※ロボットビジネス推進協議会 安全対策検討部会 (部会長 池田博康・労働安全衛生総合研究所)