マンチェスター・ユナイテッドの優勝で幕を閉じたFIFAクラブワールドカップ。
その大スポンサーであるトヨタは、サッカーを始め、スポーツ競技、文化芸術、環境活動など世界中のあらゆる分野、さまざまな地域から活動の支援を依頼されている。
ロボット分野でもトヨタへの期待は非常に大きく、日本ロボット工業会、東大IRT機構をはじめ、全国の産業振興団体などからさまざまな協力を要請され、「トヨタ頼み」の傾向は年々強まっている。
トヨタ自身もロボットを研究開発するだけの「研究所」ではなく、事業として利益を出すことが求められる「パートナーロボット部」を立ち上げ、早ければ2010年中での介護支援ロボットの実用化を明らかにしており、2009年初頭には、愛知県豊田市に建設した50m×70mのロボット専用棟に、これまで分散していた事業部スタッフを集約して、100人体制で介護・医療支援、家事支援、移動支援、工場内作業支援、パーソナル移動支援の4つの領域でのロボットの開発と実用化に取り組むことになっている。
事業部の当初予算は約50億円。これまで発表されてきたパーソナル移動支援「Winglet」や施設案内「ロビーナ」をはじめ、未発表のさまざまな研究開発ロボットの中でどれが事業として成り立つか、2009年3月末を目途に精査していくことにしている。
ロボット関係者の期待と希望を一身に受けるトヨタだが、ここに来てアメリカの金融危機に端を発した世界的な景気減速により、2009年三月期の営業利益が30%減になることを発表した。
パートナーロボット部の予算も発足当初は100億を予定していたようだが、それが50億となってしまったいきさつがあり、トヨタ本体が今年度減収減益となることから来年度の事業部予算の縮小も避けられない状況かもしれない。
それでも、ロボットビジネスが立ち上がるか否かの鍵は、大黒柱のトヨタがここでどれだけ踏ん張れるかにかかっている。
ロボットを実用化しても「事業」として収益が出るまでに一体どれくらい時間がかかるのか、今のところまったくわからないだけに、景気減速が鮮明になる中、トヨタがどのような判断を下すのか、2009年の動向が注目される。