ノーベル物理学賞が発表された同じ日。ロボットスーツ「HAL(福祉用)」のリース販売開始の発表があった。
35年前に発表された論文が評価されるのに比べれば、だいぶ早いが、それでも開発者の山海教授からすれば、ずいぶん長い助走の末、ようやっと離陸したという心持ちだろう。
「HAL(福祉用)」は当初個人にではなく、福祉や介護施設向けにリースで販売される。ユーザーの声を反映し、これから様々な改良と新たな展開がなされていくはずだ。
とはいえ、そのリース料金は単脚タイプで15万円/月、両脚タイプで22万円/月。年額にすると180万円と264万円になる。
これは5年リースの場合なので、5年間使用するとそれぞれ900万円と1320万円かかる計算だ。
大手住宅メーカーの大和ハウス工業が販売を手掛けるとはいえ、2006年4月の改正介護保険法の施行以来、多くの介護事業者はぎりぎりの経営状況が続いており、今後リース料金の妥当性、特に費用対効果についてはやはり厳しく問われることになるだろう。
しかし、重作業労働支援や災害現場でのレスキュー活動など、「人の役に立つロボット」として幅広い分野で様々な可能性のあるロボットスーツなだけに、事業として是非成功してほしいと強く思う。
今のところ、大和ハウス工業も長い目で考えているようだ。