60年代後半から70年代はじめのイギリスでは、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、ソフトマシーン、イエス、ジェネシス、EL&P、クイーン、ロキシー・ミュージックなど多数のプログレッシヴ・ロックグループが登場し、それこそなんでもありのアグレッシブさでさまざまな音楽スタイルを取り入れ、ロック・ミュージックを劇的に進化させた。
2005年のロボットシーンは、このプログレッシヴ・ロック登場前夜に似ていたのではないかと思った。
認知心理学、生物学、法律学、感性工学、コミュニケーション理論、軍事戦略、遠隔医療、サイボーグ医療、デザイン・ファション、文学・映像コンテンツなど、ありとあらゆる分野を貪欲に取り込むアグレッシブさは、まさに「プログレッシヴ・ロック」的である。
ブリティッシュ・ロックシーンは、74年の第3期キング・クリムゾン解散と歩調を合わせるように終焉し、しばらく停滞する。
その原因は、自らの理想を求めるあまり、音楽があまりにも複雑で難解になってしまい、多くのオーディエンスが離れてしまったためといわれている。
ロックが再び輝きを取り戻すのは、セックス・ピストルズに代表されるパンク・ロックの登場まで待たなければならなかった。
パンク・ロックの特徴は、単純明快、現実直視というもの。
ロボットは、その内部構造がどんなに複雑で、高度なものであっても、使う人に優しい、わかりやすい操作性と、なにより人に役立つことが求められている。
ロボットは新しい時代に入ったのだと思う。