(つづき)
ロボットが社会の一員として日常的に受け入れられていくにはロボットはどうあるべきか。
石黒氏はコミュニケーションロボット「Robovie」を使って、小学校、科学館、駅、研究所内などの実社会で実証実験を行った。
小学校では、ICタグをつけた子供とロボビーが関わることで、誰がクラスの中心人物になっていて、誰がクラスで孤立しているかを把握すること※で、人間の社会関係を基にロボットが複数の人間と関わることのできる可能性を、
科学館では、複数の半自律のロボットをひとりの人間が遠隔で操作するプログラミングセンター実現の可能性を、
また、駅内では、2台のロボットが対話することで、1台のロボットより正確に情報を伝えるパッシブ(受動的)ソーシャルな関係の可能性を、取り上げている。
そして、これらの実験結果のひとつの答えとして、役割をもったロボットの重要性を挙げている。
「ロボットが役割を持って、いったん社会の一員であると認められると、そこからロボットの可能性は飛躍的に広がっていく。
人間のさまざまな社会的役割を担うことができるようになるのである」
その一例として、なにか仕事をしながらも、ときおりうわさ話や雑談をするロボットを提案している。
たわいのない雑談が人間関係を円滑にし、社会に安心感をもたらすことで、自然とセキュリティが保たれるのではないか。
そして、ロボットが人と協調し、他人の仕事を阻害しないためにも、周りの状況を見ながら人間の行動を優先させる「遠慮できるロボット」の必要性を述べている。
KYR = Kuuki YomeRu
※ソシオグラム=人間関係がどのようになりたっているかをグラフ化したもの