ヒトらしい特徴といえば、やはり二足歩行。
昨年、英国バーミンガム大学の研究チームはオランウータンの観察から、ヒトの二足歩行が地上ではなく樹上で始まった可能性があると発表した。
研究チームは「生活のほとんどを森の中で過ごすオランウータンにとっても、二足歩行は便利な方法だ」と指摘。
それで思い出すのが、エレイン・モーガンの著書「人は海辺で進化した」(どうぶつ社刊)で有名になった「水棲類人猿説」(アクア説)。
ヒトが二足歩行をするようになったのは、気候変動で森が減少して樹上の食糧が乏しくなり、樹上から降りて、遠くの獲物をより早く見つけるため、また体温調節をする必要があるために体毛を失ったとされる学説に対して、「アクア説」では、
浅瀬を移動するにはバランスの取りやすい二足歩行が適しており、また水に浸かった生活に対応するために体毛を失い、その代わりに皮下脂肪を得るようになった、とする。
その他、「女性の頭髪が長いのは、体が水に浸かっている時に子供を頭髪に掴まらせるため」とか、「上唇の上の溝(人中)は、上唇を鼻孔にぴったり密着させて水が侵入するのを防いだ名残」など、なるほどと思える説を展開している。
しかし、「アクア説」の決定的な弱点は、その根拠の裏付けとなるような化石がいまだに発見されていないこと。
ネス湖の怪獣が科学者から相手にされなかったのと同様、この説は専門家からほとんど無視されている。
でも、ヒトをヒトたらしめている多くの特徴、二足歩行、薄い体毛、厚い皮下脂肪、言語能力などがどうしてヒトだけに備わったのか。
そうした根源的な問いに、いまだ納得できる答えは見出されていない。
今後、ヒューマノイドロボットを研究することでヒトの進化の過程が少しでも解明できたなら、本当にすばらしいことだと思いませんか。