今年のボストンマラソンに、国際宇宙ステーション滞在中の女性宇宙飛行士が宇宙から特別に参加。4時間24分で完走した。
無重力で体が浮かないようゴムひもをトレッドミルに固定して、42.195キロのフルマラソンを完走したというのもすごいが、アメリカという国はやっぱりエンターテイメントのもつ「力」をよくわかっている。
世界初(宇宙初?)の「宇宙からフルマラソン」というだけで、世界のメディアは飛びつき、日頃宇宙開発に興味のない人も注目する。しかも、参加するのは世界各国のトップアスリート、市民ランナーが出場する伝統のボストンマラソン。舞台は完璧だ。
マラソンはゴールに至るまでの間、5キロごとのラップタイム、ゴールに向けてがんばるランナーの姿、完走時間など、さまざまな情報を発信することができ、なにより、42.195キロを走り抜けた「感動」を伝えることができる。
「感動」は人々の心に深く残り、共有され、やがて共鳴へと変わる。
しばし人生にたとえられる「人間くさい」マラソンというスポーツを通して、NASAは非常に効果的なパブリシティを行った。
ヒューストンの管制官も「最後の心臓破りの丘だ。その調子で頑張れ」などと激励して、イベントの盛り上げに一役かった。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)も予算が減らされ大変だと泣き言を言う前に、こうした費用対効果が高く、なにより生き生きとしたイベントを仕掛けてほしいと思う。