急速な高齢化に伴い、高齢者や障害者への自立支援、介護の問題は誰にとっても、人ごとではない身近な問題になってきています。
僕の住むマンションも最初に買った世代が70歳を越え、高齢者に合わせて部屋をリフォームする人が増えています。
3月に発刊した「高齢者と障害者の次世代自立支援機器」では、ロボットメーカー、病院・施設、機器レンタル企業、行政などに取材をした。
2006年4月の改正介護保険法施行後の関係者による試行錯誤、人手不足を補う機械導入に対する現場とメーカーとの意識の違いなど、取材をする中でさまざまな問題点が見えてきた。
取材を通して印象に残った言葉をいくつか紹介する。
まずは介護現場への機械導入(ロボット化)について。
『完全な機械化はないと考えている。まだまだ福祉機器は使いにくい。
上肢に障害があっても家族や友人と一緒に食事を楽しんでもらえるよう、介護をする人も介護される人も簡単な操作で機器を使うことができることが重要である』 (メーカーA社)
『福祉介護の現場でロボット化はなかなか進まないのが実態である。
介護力の軽減ということではロボット化の必要性はあると思うが、購入単価が高すぎる。
介護施設も省力化機器がほしいのは山々だが、社会福祉施設の財源がなくなってきている状況では予算をとって購入することは厳しい。
どうすれば労働力と財源を確保できるのか。ロボット導入の是非もそこにかかっていると思う。
500万、1000万というような高額の商品をいくら作ってみても意味がない。
誰もが安全に使え、なにより手の届く金額のロボットを作ってほしい』 (福祉機器レンタル販売B社)
『機械を導入することによって国の介護費用を抑えることができる。
介護人件費30分をカットできれば、年間で100万円近く減る。つまり一人当たり90万円の国の負担が減るということ。
国にとっても機械化の問題は避けられないはずである。
機械化すると介護者は機械をつけっぱなしにして、かえって要介護者のためにならないのではないかというのは、あくまで機械を使用する人の問題であり、本来の使い方を理解して、一定時間はポータブルトイレを使うなどすることで、自立の方向性を探るべきである』 (メーカーC社)
(つづく)