今年3月、世界各国のイノベーション政策とその取り組みを議論する国際フォーラムが開催され、日米欧の政策担当者や研究者がそれぞれの立場から意見を述べ合った。
「イノベーション」は広い概念であり、幅広い政策が必要(最後のセッションでのまとめの言葉)だが、
2日間のセッションに参加して感じたことは、
どこの国・地域も持続的なイノベーションの重要性を強く意識していたこと。
どこの国・地域も基礎研究を新しい起業に結びつけることに苦心していること。
どこの国・地域も隣の芝生は良く見えるということ。
どこの国・地域も公的資金(税金)が国内企業に使われているのに、企業はそれをグローバルに展開してしまうこと。
どこの国・地域も特許数上位の企業がイコール、イノベイティブな企業とは限らないこと ・・・
日本の代表が、国内だけを見るのではなく、もっとオープンにすべきである、といえば、
米国代表は、9.11以降、外国のビザの取得が難しくなり、優秀な人まで締め出してきた。優秀な人たちにとって米国が魅力を失わないよう、もっと努力しなければならない、と返し、
また、欧州代表は、ヨーロッパの国同士はもっともっと人の移動をしなければならない。なぜなら、規模の経済が必要だから、と答えるなど、
日米欧3極がイノベーションを巡って相手に抱く印象が、かなり異なっていることが「わかった」2日間でもあった。
そしてある国の講演者の言葉。
「何のためのイノベーションなのか。
それは、すべての人が幸せになるためのイノベーションでなければならない。
すべての人がモノを買えるわけではない。
ゆえにイノベイティブな考えをもつことが重要であり、
イノベーションの目標は、国・地域だけの発展にあるのではなく、グローバルな問題として捉えなければならない」。